地主の新刊、「インスタントリア充」は結局買いなのか? 会場のファンたちに訊いてみた
今回のイベント会場内では、地主の新刊『インスタント リア充 人生に「いいね! 」をつける21の方法』も販売された。第一部で披露された「なりたい自分になる21の方法」など地主の「インスタントリア充」テクニックが余すことなく披露された本である。
しかし、第二部で與座から「リア充は、自らなろうとしてなるものではない」などと否定されていた。果たして本を買う価値はあるのだろうか。同書を購入した会場内のファンに伺ってみた。
「地主さんの文章が好きです。流れがステキなので、一作目の『昔のグルメガイドで東京おのぼり観光』から楽しんで読んでます」
単純に読み物として評価する声のほか、こんな意見も。
「この本は、セルフポートレートの本だと思います。私もカメラ女子なので、どれほど苦労して撮っているかがわかるんです。『わかるわかる!』と思いながら読めてしまうのが魅力ですね。ハウツー本とも違います。同じ苦労を分かち合える、癒しの本ですね」
癒しの本! まさか精神安定剤にもなってしまうとは。
そして最後に、地主本人に尋ねてみた。実際、この本に載っているような写真をFacebookなどに上げることで、何か得したことはあるのだろうか。
「すごく『いいね!』が増えますね。それに写真だけでわかるせいか、外国の友達が増えます。英ガーディアン紙で評価されたのも、この写真のお陰ですね」
なんと、写真は国境を超えるのである。同じライターとしてすごいことを聞いてしまった。同書には、これから地主のような人気クリエイターとして活躍していくためのアイデアも余すことなく溢れているのだ。
イベントを振り返ってみると、やはりインスタントとの地主と本物の與座、二人のリア充対決が一番印象に残った。本物のリア充・與座はキングとしての貫禄があり、年上の地主に対して厳しい発言をしてもまったく生意気さを感じさせず、会場中を納得させてしまうカリスマ性のようなものがすでに備わっている。
けれど、それと比較しても地主が魅力的に感じてしまうのは、やはり筆者自身も與座のようなキラキラした世界と縁遠い「非リア」だからなのもあるかもしれない。それ以上に、心の奥底で鬱屈したものを抱えながら、それをエンターテインメントに昇華できるスマートさに憧れを抱いてしまう。地主が持っていないものを與座は持っているが、與座が持っていないものをやはり地主も持っている。
リア充と非リア。今回のイベントは、そんな相反する二つのものがコラボを起こすことで、どちらもとても愛おしく感じられる奇跡の舞台となったのだ。
取材/平原学