「(仕事のことばかり考えていると)すぐ番地シフトができない。どうしても普段、自分が1日のうちで一番よく使う、強い脳の番地を使ってしまうんです。すぐ言葉で言ってしまうんですね。
ところが、子どもが要求してくることは、『お母ちゃん、そんなことじゃないよ』と(笑)。お母さんの言葉がほしいんじゃない、僕のことをよく見てほしいんだと。本当は視覚系の脳番地を使ってほしい。だから『見ていないのに、なんでわかるの!?』となる。

お母さんは、普段得意な、仕事で使っている脳の番地で子どもと接する。でも、仕事で使っていない脳の場所を使わないと、子どもとうまく接することができないんですよね。

週末には、仕事とはまったく関係のないこと、あるいは夜の空き時間には、まったく仕事と関係のないことをやらないと、両方が(脳全体の機能が)悪くなります
脳の同じ場所を使い続けると、やがて疲れてきて、非効率になります。ほかの場所も動員すれば、また新しいアイデアも出てくるんだけど、脳のほかの場所を使えないので、どんどん閉鎖的、言うことが同じ…という悪のサイクルになります」

怒ってしまうのは“頭が悪い”から!?

「特に、怒りやすくなっていたら仕事のしすぎで、同じような脳の番地を使っていると思った方がいい。また、人間は理解できないと怒りやすくなるので、物事を真摯に受け止めて、理解する脳を作らなければなりません」

加藤先生によれば、“怒り”の状態は、頭が適切に働かない“頭の悪い”状態なのだとか。

「怒ると、『なにいってんだお前!?』となりますよね。 それは、『あなたが何を言っているのか、理解できないですよ』ということの裏返しです。人間は理解できないことがあると、理解系の脳番地を使おうとして血を脳に送るのですが、血がのぼりすぎると、脳にフレッシュな血がくるけど脳が働かない、エネルギーがやってくるけど脳に使われない、という非効率な状態になる。

脳に使われないから、血液が増えるだけになってしまう。すると、疲れる、興奮する、頭が働かない、という状況になります。

理解が悪いと、自分が止められないんですね。自分を止める最大の方法は、より深く理解することです。怒りそうになった段階で、物事に対して理解力が不足しているのだな、と自覚する」