「忘れないでね」って確かに伝えたはずなのに…。当の夫は、「そんなこと言ってたっけ?」「え?聞いてないよ」「ごめん、覚えていない...」なんて、よくある話。
仕事で疲れているのはわかるけど、大切な用事や約束は忘れずに覚えていてほしいもの。
夫は、なぜ伝えたはずのことをすぐ忘れるのでしょう?
すぐ忘れる夫とのトラブルをなくすには?
「すぐ忘れる夫」とのトラブル解消法について、男性カウンセラーの松橋良紀さんにアドバイスを伺いました。
1.私が経験した「すぐ忘れる夫」とのトラブル
この記事を書いている私自身も、実は「すぐ忘れる夫」とのトラブルの経験者です。
3年ほど前、久々にママ友から飲み会に誘われました。子ども抜きの、ママだけの飲み会です。
夫に予定を空けておいてもらうため、「この日は6時半集合だから、6時には出発したいの。6時までには帰って来て、息子のことよろしくね」と、まず3週間前に伝え、念の為に1週間前にも、もう一度伝えました。
夫は「わかった。その日は6時までには必ず帰るよ。楽しんでおいで」と言ってくれました。
が、いざ当日、6時10分前になっても夫は帰ってこず、何の連絡もありません。
「大丈夫、きっと夫は帰ってきてくれるはず。あれだけ言ったんだもの。必ず帰ると約束したもの。」と、夫を信じて待っていましたが、出発のタイムリミットの6時になっても帰ってきません。
堪えきれず、私は夫に電話しました。
私「あの、もうそろそろ出発したいんだけど、いつ帰ってくるの?」
夫「…え?今日ってなんかあったっけ…?」
私「え!?ママ友と飲み会って言ったじゃん!!」
夫「...ごめ〜ん!忘れてた!」
夫はまだ仕事をしており、急いで戻っても6時半は過ぎるとのことで、私は久々の飲み会を大幅に遅刻して参加せざるをえませんでした。
夫はこの出来事の3〜4ヶ月前にも、息子の幼稚園の行事を忘れてゴルフを入れてしまったことがありました。その時、私は夫に対して激怒しました。
「あの時あれだけ怒ったのに、こんな短期間にまた同じようなことを繰り返すなんて...」私は夫に対して軽く失望しました。
この出来事以来、私は『夫に私や子どもの予定を覚えてもらう』というのはほぼ不可能だと思って行動するようになりました。
とても残念なことですが、『私にとって重要な用件=夫にとって重要な用件』ではないのです。
夫に忘れてほしくないことは、夫が忘れないようにこちらが工夫をしないと、トラブルはこれからも頻発します。
というわけで、忘れてほしくないことがあるときは、すごく手間ですが『口頭だけでなくLINEでも伝える』『1週間前、3日前、1日前と定期的に確認する』『家のカレンダーに大きく目立つように書く』など、しつこいぐらいの確認&アピールをするようになりました。
2.なぜ夫は妻の言うことをすぐ忘れるのか?
それにしても、なぜ夫は妻の言うことをすぐ忘れるのでしょう?
カウンセラーで、コミュニケーションに関する著作を多数出版されている松橋さんが、夫側の心理について詳しく解説してくれました。
松橋「なぜ夫はすぐ忘れるのか?
それは、男性と女性では、脳の使い方が違うからです。
男性はシンプルタスク型、女性はマルチタスク型が多いです。
シンプルタスク型は、一点集中が得意です。一つのことに打ち込んだら、他の事は目に入りません。
男の子の子育てをしているママだと、子どもが漫画を読み始めたりゲームをやり始めたら、何度も声をかけているのにまったく気づいてくれない…という経験はきっと何度もあるでしょう。
大人になった男性は、仕事にほぼすべてのエネルギーを集中させます。すると、他のことに気を回すだけの余裕が残らないのです。
それに対して、女性はマルチタスク型です。
2つ以上のことを難なく同時にこなせます。
包丁で素材を切りながら子どもと会話して、煮物を作りながら合間にテレビを見たり…。
一つのことにしか集中できない男性は、包丁を使っていたら他のことは忘れてしまうところですが、女性は一度たくさんのことに気を配ることができます。
ですから、今日の予定以外は考えられないくらい仕事にエネルギーを向けている男性に、「1週間前に伝えたでしょ!」というのは、とても酷なことなのです。
また、興味の方向が、男性と女性では大きく違います。
女性に対して、「野球の勝敗や経済の動き、株価の推移になぜ興味が持てないの?」といくら責めてもムダですよね。
それと同じで、男性は、「幼稚園や学校の行事、旅行のスケジュール、休みの日にどこに行くか」などには、ほとんど興味を持てないのです。
男性が興味を持つのは、基本的に仕事に関することです。仕事で起きている問題に、すべてのエネルギーを集中させたいのです。」