この20年で日本のグローバル化は急速に進みました。グローバル化=英語力は必須ですが、英語にまだまだ苦手意識のある人がほとんどなのではないでしょうか。
その一方で、2020年から小学校で、英語が教科になります。子どもに英語力を身につけさせるために、早くから英会話スクールに行かせたり、海外留学させたりしないと、と焦る気持ち、わかります。
ですが、英会話スクール通いや海外留学には、決して安くないお金がかかりますよね。ということは、親の所得格差が、そのまま英語格差になってしまうのでしょうか。
新刊『世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方』(船津徹 著)で著者である船津徹さんは、はっきりと断言しています。
英会話スクールに通わず、海外留学せず、トップレベルの英語力をつけることは可能、と。つまり、英語格差=親の所得格差にしない方法があるというのです。
これは、お金がないから子どもに英語力をつけさせることができないと思っている親には朗報であると同時に、子どもの英語力をスクール任せにしている親には警告にもなるのではないでしょうか。
世界で通用する英語力を身につけるには、いったいどうしたらいいか、エッセンスをご紹介します。
乳幼児期からの英会話スクールは不要?
早くから生の英語に慣れさせようと、乳幼児期から英会話スクールに通わせねば、と考える親も多いかもしれません。
ですが、言語吸収力が著しい乳幼児期には、英会話スクールに通わせるよりももっと効果的、かつ簡単なことがあります。
それは、自宅で1日1~2時間程度、マザーグースや、ナーサリーライムと呼ばれる英語圏のわらべ歌を、子どもに気づかれないくらい小さな音量で流しておくというもの。教えたり、一緒に歌ったりする必要はなく、繰り返し、ただ流しておくだけでいいというのですから、とっても簡単です。
YouTubeで検索すれば、いくつも動画が見つかりますよ。
英語の音感やリズム感を吸収するには乳幼児期が最適です。ただし、小学校以降の子どもには通用しないそうなので、ご注意を。
英会話力にばかり目をむけていると
英語というと、多くの人が、英語をペラペラ話せるようになることをゴールに思い浮かべがちですが、会話できることと、その言語で学習や論理的思考ができることは、別のことです。
船津さんの本には、ハワイで生まれ育った日本人のタロウくんが、6歳になって現地の小学校に通い始めた時に、学校の先生から、「会話はできるが、読み書きの力が足りない」という指摘を受けるエピソードが紹介されています。
このように英語力には、「生活英語力」と「学習英語力」があります。世界で通用する英語力には後者が必須ということは、容易に想像できると思います。
留学よりもコミュニケーション力
英語をマスターするには英語を使わざるを得ない環境に身を置くのが一番、そのためには子どもに海外留学を、という考えも根強くあります。最近では、小中のうちから留学させる家庭もあるようですね。
ですが、せっかく高いお金をかけて留学させたのに、日本人同士でしかつるまず、肝心の英語を使ってのコミュニケーションはさっぱりという話、実はよく聞きます。これでは、とても英語力は身につきませんよね。
さらに残念なケースでは、留学先で現地の人と極力交流せず、部屋にとじこもっていたというものもあるようです。
これは、英語以前にコミュニケーション力の問題です。
コミュニケーション力が高い子どもは、たとえ英語がうまく話せなくても、英語環境を怖がらず、外国人が相手でも臆することなく接することができるといいます。
英語上達のために、コミュニケーション力はあればあっただけ、役に立つでしょう。留学にはさまざまな利点もあると思いますが、まずその前に身につけておくべきことはあるということ ですね。