キケンな思考-3:そこまで神経質にストーカー対策しなくても良いんじゃない?

心配性な両親が「一刻も早く引っ越ししてストーカーから逃げろ。バイトもやめろ。転居先は誰にも教えるな」なんて言うけど、そんな対策までしなくても大丈夫でしょ……実は、この考えが一番キケンです。

一般的な犯罪者と、ストーカーの違いは何でしょうか?

たとえば振り込め詐欺や空き巣は、たくさんのターゲットを短期間で狙います。「100軒のうち1軒からでもカネを取れればいいや」という、いわば“1/100”の方針です。だから少し対策しておけば「もっと狙いやすいカモを探そう」と離れていってくれます。ガードが堅い相手にこだわって時間を浪費したくないのです。

しかしストーカーにとって、女性と呼べるのは世界中であなた一人です。絶対に替えのきかない“1/1”な存在なのです。

だから彼らは財産をなげうってでも、他人から邪魔されても、どれだけ時間を使っても、自分の全存在を賭けてあなたに付きまといます。生ぬるい対策では効果がないばかりか、ストーカーを逆上させて事態を悪化させることにもなりかねません。

ストーカーに特有な“1/1の心理”。これが、今回の記事で一番伝えたかったことです。この恐ろしさを被害者となる女性が、取り締まる警察が、そして法整備する政治家が正しく理解しないかぎり、また惨劇が繰り返されるのではないかと不安になります。

どこで間違えたのか研究者の卵から探偵へクラスチェンジ後、足を洗った現在はライター稼業。いまだに尾行を気にして振り返る癖が抜けません。記事の守備範囲はネット、現実世界に関わらずちょっぴりアングラ系を好みます。