シリーズ屈指のホラー回! "コブ怪獣"オコリンボール(『ウルトラマン80』)

「オコリンボール」という怪獣の名前を聞いて、一体、どんな姿を想像しますか?

きっと多くの人は、そのコミカルな名前からポップで可愛らしいデザインの怪獣を思い浮かべるのではないでしょうか? しかし、このオコリンボールは、その名前からは想像できないとても恐ろしい怪獣なのです。

「主人公であるウルトラマンが中学校の教師」という異色かつユニークな設定の『ウルトラマン80』は、『ウルトラマンレオ』で一度、放映が終了したシリーズの5年ぶりとなる復活作であり、昭和の特撮テレビシリーズの最終作となった作品です。

そんな『ウルトラマン80』の第20話『襲来!! 吸血ボール軍団』に登場したのがオコリンボール。ボール状の身体を持つ謎の地球外生命体として地球に侵入し、人間の首に取り付き、ミイラ状になるまで吸血するという名前からは全く想像できないホラーな悪行で日本をパニックに陥れます。

分裂、増殖するという手に負えない習性まであり、その被害はあっという間に拡大。一般市民や対策会議に出席していた各国の要人を襲撃し、昭和の歴代ウルトラシリーズの中でも、トップクラスの被害を出しました。

70年代のオカルトブームや、『エクソシスト』『ゾンビ』のヒットを皮切りに海外で次々に制作されたホラー映画の影響を受けてか、昭和のウルトラシリーズも後半に入るとSFというよりはホラー、オカルトめいた怪獣が顔を出してきます。

オコリンボールは、そうした時代性が色濃く出た怪獣です。直接的なスプラッター描写こそないものの、得体の知れない宇宙生物に襲われる恐怖感が上手く描写されており、ホラーの醍醐味を味わえる話数となっています。大人でもトラウマになってしまいそうな、非常に良くできたホラーエピソードですよ。

絶望の後に訪れる感動的なラスト! "邪神"ガタノゾーア(『ウルトラマンティガ』)

昭和ウルトラシリーズの最終作である『ウルトラマン80』の最終回から16年の時を経て、新たなるヒーローとして誕生したウルトラ戦士が『ウルトラマンティガ』です。

「マルチタイプ」「スカイタイプ」「パワータイプ」という3つの形態を使い分け、それぞれに特化した能力を駆使して怪獣と戦う斬新な設定が特徴だったティガ。

「頭部に突起物を追加するのではなく、反対に表面を凹ませる」「スカイタイプ時の青色をメインにしたカラーリング」という以前のウルトラ戦士には無かった、これまた斬新なデザインは、その後のシリーズにも大きく影響を与え、ウルトラ戦士のビジュアルをより幅広く豊かなものへと変えました。

ウルトラマンティガへと変身する主人公、マドカ・ダイゴ役にV6の長野博さんが、そして、女性隊員のヤナセ・レナ役には『ウルトラマン』でハヤタ隊員を演じた黒部進さんのご息女である吉本多香美さんが起用されるなど、話題性のあるキャスティングも注目を集めた作品です。

様々な新要素を盛り込み、平成シリーズの"原点"となった『ウルトラマンティガ』は、まさに時代を作ったヒーローといえます。

そんなティガの前に立ち塞がった最強の敵がガタノゾーア。テレビシリーズでティガが最後に闘った怪獣であり、"ラスボス"の名に恥じない強大な力を持った怪獣……いや、"邪神"です。

「触れた者の命を一瞬で奪い、各種機器に甚大な障害を与える」という恐ろしい能力を持つ「シャドウミスト」と、打撃や光線技が通用しない鉄壁の防御力で、これまでに何度も人類を守ってきたティガを圧倒し、蹂躙。全世界に絶望を与えます。

しかし、ティガすら寄せ付けないガタノゾーアにも唯一、その力に対抗する術があったのです。それが何かというと……物語の結末は、是非ともご自身の目で確かめていただければと思います。そこには、シリーズ屈指の感動的なラストと希望に溢れたメッセージが待っているのですから。

ゼットンと同じく、スーパーヒーローの力が一切通用しない最後の強敵として登場し、「絶望」の象徴として、強烈な印象を残したガタノゾーア。そんな強靭な敵だからこそ、最終回に込められたメッセージは、より一層の輝きを増し、『ティガ』の幕引きを鮮烈で非常に美しいものにしてくれています。強烈なトラウマであると同時に、平成ウルトラシリーズを代表する怪獣の一体です。

グロテスクな見た目が強烈過ぎる! "奇怪生命"マザーディーンツ(『ウルトラマンガイア』)

平成ウルトラマンシリーズの3作目として1998年に放送をスタートした『ウルトラマンガイア』。

物語が地続きとなっていた前2作の『ウルトラマンティガ』『ウルトラマンダイナ』から世界観を一新し、人類の滅亡を企む謎の存在「根源的破滅招来体」とウルトラマンガイアの闘いが描かれました。

劇中には主役のガイアだけではなく、「第二のウルトラマン」であるウルトラマンアグルが登場。「ガイアと並び立つもう一人の主人公であり、ライバルキャラでもある」というアグルの存在によって作劇の幅は大きく広がりを見せ、エンターテイメント性とストーリーに更なる深みが与えられました。これまた、以降の平成シリーズに大きく影響を与えた名作です。

そんな『ウルトラマンガイア』には、従来の枠に囚われない、非常に斬新かつフリーキーなデザインの敵怪獣が多数登場します。個性的な怪獣たちの中から、今回はちょっとマイナーどころのマザーディーンツを取り上げましょう。

不法投棄された人工臓器に、地球外からやってきた微生物が混じりこんだ「緑の雨」が融合したことで生まれたマザーディーンツは、ガイアに登場する怪獣の中でも際立ってグロテスクな容姿を持つ敵キャラクターです。

その見た目は、一言で表現すれば「手足と触覚が生えたブヨブヨの肉塊」。生理的嫌悪感を催すルックスの時点で、既に相当に高いトラウマ度数を誇っているのですが、更に凄まじいのが、この怪獣の攻撃方法です。

何と、光線で人間を溶かし、生きたままシミに変えてしまいます。しかも、このシミというのがドロドロのグチャグチャで、見た目が非常に気持ち悪いのです。クライマックスのバトルシーンでは、この光線でガイアの両足をデロデロに溶かす……という、これまた子どもたちにとってはトラウマ必至のシーンまで作り出します。

ちなみに、醜悪な怪獣なのに鳴き声は女性の嬌声のような艶めかしい声を上げます(声優は、『ポケットモンスター アドバンスジェネレーション』のマサト役などで知られる山田ふしぎさん)。そのギャップも、多くの子どもたちにとって心的外傷の一因になっているような……。

マザーディーンツの登場回となる第15話『雨がやんだら』は、バイオホラーに医療ドラマを絡めた脚本が光る一編であり、サイエンスフィクションとヒューマンドラマが見事に同居する『ウルトラマンガイア』らしいエピソードです。怪獣は不気味ですが、ドラマは非常に素晴らしい見どころタップリの内容ですよ。

シリアスでハードな作品性を象徴する異形の怪獣! "スペースビースト"ペドレオン(『ウルトラマンネクサス』)

2004年から2005年にかけて放映された『ウルトラマンネクサス』は、劇場映画作品の『ULTRAMAN』(2004年全国劇場公開)と世界観を同じくする作品であり、他の平成ウルトラシリーズとは趣が大きく異るシリアスでハードな作風が最大の持ち味です。

残酷な描写やショッキングなシーンも多く、平成シリーズの中でも際立った個性を持つ作品として、シリーズの歴史にその名を残す本作ですが、ウルトラマンへの変身能力を持つ人間(デュナミスト)が劇中でも幾度も変わるという画期的な設定を活かした重厚なストーリーは見応え抜群であり、特に、終盤における怒涛の展開はファンから高く評価されています。

本作に登場する怪獣は、「スペースビースト」と呼ばれる未知の存在として描かれており、いずれもグロテスクなデザインが特色です。

その振り切ったビジュアルと極悪な所業により、どの怪獣もトラウマレベルの絶大なインパクトを残していますが、その中でも第1話に登場したペドレオンは、作品のSFホラー的な側面を視聴者に印象付けた怪獣として知られています。

ウミウシをモチーフにしたというビジュアルは、得体の知れない不気味さに満ちており、愛くるしさや親しみやすさは皆無です。劇中では、大量の人間を襲い、捕食するという悪行を披露し、視聴者を震え上がらせました。

おぞましい姿のモンスターに、次から次に人が食べられていくわけですから、その視覚的衝撃たるや……。

劇中では幾度か再登場も果たしており、そのグロテスクな姿が脳裏に焼き付いている方も多いのではないでしょうか? まさに『ネクサス』を象徴する怪獣です。

ファンの心にトラウマを刻みつけた怪獣たちベスト10。いかがでしたか? どれも各シリーズで強い衝撃をもって迎えられた怪獣であり、また、それ故に思い出に残っている名キャラクターたちでもあります。

今回取り上げた10体の怪獣のように、怖い怪獣や哀しい怪獣、見た目が強烈な怪獣もいれば、一方で、シンプルにカッコ良い怪獣や可愛くて愛すべき怪獣もいるのがウルトラシリーズの魅力であり、こんなにも長いこと愛される理由の一つになっているのだと私は思います。

皆さんも、自分にとって忘れられない怪獣に思いを馳せ、童心に帰ってウルトラシリーズを楽しんでみてください。

都内在住の極々平凡なサラリーマン兼、アニメ、音楽、プロレス、映画…と好きなものをフリーダムに、かつ必要以上に熱っぽく語るBLOG「さよならストレンジャー・ザン・パラダイス」管理人。永遠の"俺の嫁"である「にゃんこい!」の住吉加奈子さんと共に、今日も楽しいこと、熱くなれることを求めて西へ東へ。