子どもの成長とともに母親になっていく
――自分自身の親との関わり方で子育てに悩んだり、自分の母性のなさに悩んだりしている人に対して、ヤマダ先生が『母になるのがおそろしい』という作品を通して伝えたいことは何でしょうか?
ヤマダ:世の中って、母性で溢れていると感じることがあるんです。
それは決して、母性を持った人が圧倒的に多いという意味ではなくて、母性を持った人の発信力が強いからだと思うんです。書籍もそうだし、身近なところでいうとSNSとか。
親との関係性が良くないとか、母性がないから子どもはいらないとか、そういうことって発信しづらくないですか? 世の中に出ている意見が少ないからマイノリティ感が出てしまっているけど、実はそういう人って多い気がするんですよ。
子どもをもうけることに選択肢があってもいいと思いますし、個人的には、母性は最初からあるものではなく、心の余裕と子どもの成長とともに育ってくるものだと思います。
誰もが母親初心者なので、だんだん母親になっていくものだと思うんですよね。
『母になるのがおそろしい』によって、少しでもマイノリティ感から来る孤独を和らげることができたらなと思っています。
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――世の中には理想の母親像が溢れ、現在子どもを育てている人にとっても、これから子どもを産もうとする人にとっても、プレッシャーの多い現代。
今回インタビューしたヤマダカナン先生の『母になるのがおそろしい』(KADOKAWA)はそんな悩める母親、これから母親になる女性たちの心のつっかえを取り除いてくれる一冊です。
育児や出産に対する自分の気持ちに孤独感や自己嫌悪を感じたら……。そんな時にこそ手に取ってもらいたい作品です。