それ以外に母親としてできることといえば、親子でのフィールドワークが効果的のよう。日常生活での疑問を親子で現場調査するのです。
疑問は素朴なものでもOK。例えば、「なぜ水栓をひねると水がでるのか」。こういったふとした疑問に対し、フィールドワークに出かけ、その疑問を解消するのです。
まずは、水道局に出かけ、浄水場を訪れ、もし可能でしたら、取水堰やダムなど、どんどん上流の水源まで行ってみると、壮大なスケールで水が流れていることが実感できます。このフィールドワークの効果を同書ではこう分析。
「たとえば、長らく雨が降らないときには、『あのダムの水位もどんどん下がっているのではないか』ということに気づき、貯水率という言葉も覚えるでしょう。その数字がどんどん下がっていけば、『そろそろ取水制限のニュースが流れるかもしれない』と予想したりするのです」
なるほど、水の流れを理解することで、自ら想像力を働かせ、貯水率のことを考えるようになるのです。これはテキストだけで理解するのと深みが違いますよね。
主体的に何かに取り組む環境をつくるという意味では、スポーツや音楽、芸術の経験も良いとのこと。
何かに没頭して打ち込み、その中で喜びや悲しみ、反省や感動を経験するのです。
様々な経験は心だけでなく頭もフル稼働させます。個人ではなくチームでの取り組みだと、さらに自身の立ち位置を意識したり、協働を覚える機会となるのです。
あとは、一人旅とキャンプも良いようです。
「旅というのは思考と判断の連続で、自立心を養うのに絶好の手段です。トラブルに遭遇することがあっても、それを乗り越えることもまた貴重な経験となります」と松永さんは解説。
もちろん、無理に旅をさせては危険ですが、ひとりで旅する時間は、自分と向き合う絶好の機会。男の子をより逞しく成長させるでしょう。
また、いつもの空間とは異なり、自然のなかで過ごすキャンプには、日常では出会えない機会がたくさんあるのです。
「小学校高学年から学力がぐんぐん上がっていく子供は、『小さいころ、よくキャンプに行っていた』と口を揃える」とも言われています。
どれも共通するのは、親が過干渉するのではなく、お子さんが主体性をもって考え、動き、学ぶ機会を与えることです。
「可愛いお子さんを逞しく育てたい」、そう思うからこそ、お子さんに自分から「やろう」と思うシチュエーションを用意するのが、良い母親の姿と言えるでしょう。
過干渉過ぎることはお子さんの成長の妨げにもなりますので要注意。女性の方からすると異性の教育はなかなか難しいところですが、逞しく育つお子さんの背中を見守りたいところですよね。