2.5次元の舞台は好きな仕事。最初は“笑い方”から役に入る

撮影:小林裕和

――ファンの熱が高いコンテンツを2.5次元舞台として演じる上で、特に難しい部分はどこですか?

小澤:プレッシャーを感じつつも、満足していただくものを作り上げなきゃいけないところ。プレッシャーでストレスも感じたりしますが、そこを乗り越えると観に来てくださったお客さんの笑顔が見られるので、その景色を見るために日々の稽古を頑張っています。

――稽古期間もとても短いですよね。

小澤:最近はだいぶ慣れてきたのでなんとかなっているんですが、最初の頃は、「やばい、もう間に合わない、終わった……」ってなってたくらい(笑)。

でも大変な稽古期間の中でもキャストのみんなと楽しみながら、青春と言えるような時間を過ごせているので、やっぱり舞台ならではの良い経験をさせていただいています。2.5次元の舞台は、仕事の中でも特に好きな部類に入ります。

――元のコンテンツ(原作)にはどの程度まで触れるんですか?

小澤:ゲームなど、ストーリーを追うのにとても時間がかかってしまう作品は詳しい方に聞きつつ、原作の小説などを読んで細かい部分を補います。

僕は、基本的に原作に忠実にいこう、って思っているんですよ。原作という親からキャラクターという子を預かっている状態だと思っているので。原作ファンを裏切らないことはもちろん、原作をリスペクトしつつ、自分の演じる役を近づけることは、僕は義務だと思っています。

なるべく原作に近づけて、でもその中で小澤廉が演じる意味を出さないといけないから、原作にはなかったリアクションとかセリフや言い回しを自分で考えて、演出家の方に「この場面こう言いたいんですけど」、「こういう言葉入れたいんですけど付け足してもいいですか?」って聞いたりして。自分なりのオリジナル部分を入れながら、小澤廉が演じる意味を出していっています。

――より原作のキャラクターに近づくために気をつけているポイントはありますか?

小澤:笑い方から入ります。『ダイヤのA』の沢村栄純だったら、「だははははは」って笑い方の最初に「だ」をつけて、突き抜けるようにパーンと出すんですよ。『おそ松さん』の十四松だとハスキーさをちょっと入れたり。笑い方から入って、徐々にセリフも分けていっています。

まずは天真爛漫なキャラを極めたい

撮影:小林裕和

――今後どのような役をやっていきたいですか?

小澤:ここまで明るくて天真爛漫な役をやらせてもらっているのなら、この2.5次元のジャンルに留まることなく、明るくて天真爛漫なキャラを極めたいです。まずはそこを極めて、そこからクールなキャラもできるんだ、ってギャップを見せつついろいろな方面にいきたいですね。

――舞台をたくさんやっていて、演じる仕事にどんなやりがいを感じていますか?

小澤:自分とは違う人間になれることが、一番の魅力だなって思います。あとお客さんへ夢や希望を与えたり、嫌なことを忘れさせる仕事ってなかなかないと思うんですよ。

「廉くんのおかげで笑顔になれました」って感想を言ってもらえると、それだけでもっと頑張ろうと思えるし、他の仕事では得られないようなものが返ってくる。頑張れば頑張るほど、良い評価もわかりやすく返ってくるから、俳優の仕事はすごく素敵だなって思います。

――舞台は目の前にお客さんがいる生の現場ですが、その面白さや刺激はありますか?

小澤:やっぱり直接リアクションをとってくれることですね。上手くいかなかったときは笑いが起きなかったり、毎公演同じことは絶対にない。でも、お客さんが笑ってくれたりとか、最後「良かった!」ってザワザワした声が大きいと、それだけで疲れが吹っ飛ぶんですよ。だから応援の力は本当にすごいですね。