おねしょをする。忘れ物をする。食べ物をこぼす。

初めからこうしたことが上手にできる子どもはいません。

ですが、忙しい毎日を送っていると、つい余裕がなくなり、子どもの失敗にイライラしてしまうことも育児ではあるあるですよね。

失敗は成功のもとと言います。実は、世界の偉人と呼ばれる人たちも数えきれないほどの失敗をしてきたのです。

今回は、大野正人著『失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!』を参考に、子どもの失敗を受け止められる親になるための心得と、子どもに話してあげたい偉人たちの失敗エピソードをご紹介します。

子どもが失敗したときに親がやりがちなこと

一度はできるようになったことをまた子どもが失敗すると、「この間はできたでしょ!」と不要なひと言を言ってしまったりしていませんか。

また、とりあえず子どもにやらせて、いざ子どもが失敗したときの「だから言ったじゃないの!」も、子どもにはグサッとくる言葉です。

子どもは失敗した、ということを誰よりもわかっています。一見、ヘラヘラして平気そうに見える子どもでも同じです。

ですから、当然、子どもは失敗すれば落ち込みます。そこに追い打ちをかけるような言い方は、なるべくしない方がいいでしょう。

成功体験ならぬ、失敗体験が重なると、新しいことにチャレンジしようという気持ちも薄れてしまう可能性があります。

子どもが失敗したときこそ親の出番

育児書のロングセラー『子どもへのまなざし』の著者・佐々木正美先生は、子どもが失敗すると、さあいかに子どもを失敗から立ち直らせようかと意気込んでいたそうです。

育児のもっとも大切なところは、子どもが失敗したときに、そのときにこそ、親や家族がいちばん頼りになるのだというメッセージを、どう伝えることができるかということです。
出典(『子どもへのまなざし』佐々木正美著/福音館書店)

「人間は失敗あってこそ人格に厚みが増すのだから、失敗からどう立ち直るかが子どもの力になる」というのが佐々木先生の考えです。

失敗しても、「今度はがんばろうね」「また別のやり方でやってみようよ」といった声がけができれば、子どもに笑顔が戻るのではないでしょうか。

エライ人たちの失敗エピソード

それでは「失敗図鑑」から、エライ人たちの失敗エピソードを紹介していきましょう。

ピカソ

偉大な人には変人が多くいます。今でこそ20世紀最大の芸術家と呼ばれるピカソもその1人。

ピカソの場合、画家として大成する前から変なところがいくつもありました。その一つは名前。

ピカソの本名は、本人も正確に覚えていないほど、めちゃくちゃに長い名前でした。変な名前は、学校などではからかわれるきっかけになりがちです。ピカソも子ども心に嫌だったかもしれませんね。

そんなピカソの失敗とは、いったいどんなものだったのでしょうか。

十代から画家として活躍していたピカソは、20代半ばにして新しい絵をつくりだすという使命にかられ、毎日何時間もカンバスに向かっていました。

そして、ついに発表したオリジナリティあふれる新しい絵は、世間からまったく理解されなかったのです。

人々は、新しいピカソの絵をみて、笑い、あきれ、なかには怒る人もいたそうです。

それまで絵で失敗したことのなかったピカソもさすがにこのときは落ち込み、しばらく絵から遠ざかってしまったそうです。

その後、協力者を得て、ピカソは再び認められるようになります。

どんなに周りから理解されなくても、自分を信じて進めば道は拓かれるのですね。