国の情報では、季節型インフルエンザの流行がピークを迎えています。
インフルエンザといえば、命に関わるケースも出る病気。
巷では、予防法や治療法についての様々な情報が飛び交っていますが、必ずしも正しい情報ばかりとは限りません。
そこで、総合内科専門医で、インフルエンザについて正しい情報をわかりやすく解説してくださる大竹真一郎先生にお話をうかがいました。
おおたけ消化器内科クリニック
院長 大竹真一郎先生(総合内科専門医・消化器病専門医)
プロフィール
1968年兵庫県生まれ。
高校を中退した後に大学入学資格検定(現、高等学校卒業程度認定試験)に合格し、神戸大学医学部医学科を卒業。
愛仁会高槻病院でスーパーローテート研修(多科研修)を行い、その後は消化器専門医として、
けいゆう病院、辻仲病院柏の葉、平塚胃腸病院附属クリニックなどで通算1万例以上の内視鏡検査を実施し、研鑽に励む。
(おおたけ消化器内科クリニック ホームページより)
風邪とインフルエンザは違う病気?
大竹真一郎先生(以下、大竹)「実は風邪というのは、病気の名前ではないんですね。正確には、「風邪症候群」といいます。
症候群というのは、さまざまな症状が起こる病気の総称なんです。「鼻水」「鼻づまり」「のどの痛み」「発熱」こういった症状が起こる状態で、医学的な治療を行わなくても、一週間以内に治ってしまうものを風邪症候群と呼んでいます。
大多数の原因はウイルスという、非常に小さな病原体ですが、風邪症候群を引き起こすウイルスは200種類ほどあるとされています。
また、お医者さんが処方したり、薬局で販売しているいずれのお薬も、風邪の症状を和らげることはできても、風邪症候群の原因自体を治すお薬はありません」
風邪の症状はツライけど、体が頑張って風邪を治そうとしている状態
大竹「とはいえ、風邪の時に、熱が上がったりする状態はツライですよね。でもこれって、体ががんばって風邪の原因になるウイルスと戦っている状態なんです。
ウイルスと戦うのは、白血球という血液中の成分ですが、この成分は体温が高いほうがよく働いてくれますし、ウイルスは熱に弱いんです。そのため、早く治るために脳が命令して体温を上げているんです。
ですから、風邪の症状を抑えるお薬を使うことで、風邪が長引く可能性もあります。
風邪症候群と同じく、インフルエンザは、ウイルスによって起こる病気です。命に関わることもある病気として知られていますが、実は、インフルエンザウイルスに感染しても全く症状が出なかったり、2~3日の軽い症状で治ってしまうもケースも珍しくありません。
ただし、抵抗力が弱い高齢の方やお子さんは、重い状態になることがありえます。
インフルエンザは、風邪症候群と違って、治療するお薬があります。
そのため、風邪とインフルエンザは区別して、きちんと予防・治療をしようということなんですね。
もちろん、咳が長引いたりすると体力を消耗しますし、呼吸器の病気でもともと治療を受けておられる方などは、医師と相談してお薬を使うほうが好ましいといえます。
したがって、風邪気味だからといって、ご自分の判断で風邪薬を飲むのは、好ましいとはいえません。
また、風邪とよく似た症状が起こる病気はたくさんあります。
不調に気づいたら、早めに医師の診断を受けることが大事ですね」