効果が期待できる・できないインフルエンザの予防法
季節型インフルエンザ流行中のワクチン接種
大竹「インフルエンザワクチンを接種しても、効果が出るのは、おおむね2週間くらいだと言われています。
先ほどお話ししたように、インフルエンザは、体力がある人なら感染しても症状すら出ないか、軽く済んでしまうこともあります。
そのため、「インフルエンザが流行しはじめてからワクチンを接種するのは意味がないのでは?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
とはいえ、ウイルスが体の中にいるのは間違いないので、ご家族が感染してしまう可能性があります。
特に小さなお子さんや高齢の方がいらっしゃる場合は、リスクが高くなりますので、ワクチン接種を検討するのは悪いことではないと思います」
インフルエンザワクチン接種は車のシートベルトのようなもの
大竹「また、季節型インフルエンザウイルス流行前のワクチン接種は、個人的にはすべきものと考えています。
ワクチンを接種についてはいろんな意見がありますし、たしかに100パーセントの効果を保証するわけではありません。ですがリスクを軽減することや、周囲の方への感染を防ぐ意味では大きな意味があります。
たとえていうなら、車を運転する際にシートベルトをするようなものです。
シートベルトは、交通事故自体を防ぐことはできませんが、もし事故にあった時、ご本人はもちろん同じ車に乗っているご家族の被害を少なくすることができます。それと同じです。
ワクチンは感染を予防できませんが、症状を軽くしたり、ご家族全員、特に体力に問題があるお子さんや高齢の方にうつしてしまう危険性を減らすことができますので、ワクチン接種を受けておくほうが好ましいといえます」
外出時のマスク着用
大竹「実は、マスクをすることで、インフルエンザを予防する効果は、さほど期待できません。
インフルエンザウイルスは非常に小さく、マスクの繊維の目を容易にくぐり抜けるためです。
強いていうなら、マスクをすることで、インフルエンザに感染した方のくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことを防げるといったことでしょうか。
ただし、目からもインフルエンザウイルスは感染します。
そのことを考えると、マスクだけでインフルエンザを予防できるとはいえないことになります。
ただし、インフルエンザに感染している方が、周囲の人にうつさないために、マスクをすることは有効です。
くしゃみや咳によって、唾液や鼻水に含まれたウイルスはブロックできるからです」
帰宅時の入念なうがい・手洗い
大竹「実は、うがいについては、効果が期待できないとされています。
ただし、手洗いについては、予防効果が高いといわれています。
加えていうなら、手を洗って清潔にする前に、顔に触れないようにすることです。
インフルエンザに感染した方が、くしゃみや咳でまき散らしたウイルスが手に着き、鼻や目、口などを無意識のうちに触れることによって感染してしまいます。(接触感染)
特にお子さんは、鼻をさわることが多いので、さらにリスクが高くなります。
したがって、普段から顔をむやみに触れないこと。帰宅時は入念に手洗いをすることが大事です」
エアコンなどで室温を上げる・加湿する
大竹「インフルエンザウイルスは、気温が寒ければ寒いほど感染しやすいと考えられていますが、これは様々な研究によって否定されています。
もし、寒ければ寒いほどインフルエンザウイルスが活発に活動するなら、東北や北海道の患者さんは、目に見えて多くなるはずですが、そのような話はありません。また、年中通して気温が高い沖縄県でも、真夏にインフルエンザが流行することがあります。
このことから、気温と湿度を高くすることで、インフルエンザを防げるというのは正しいとは言いがたいと思います」