インフルエンザは症状が出ないことも
大竹「インフルエンザ治療薬では、有名なタミフルというお薬がありますが、このお薬が効かないインフルエンザウイルスが最近増えてきているんです。
また、インフルエンザによる症状なのかお薬のせいなのか、はっきりしていませんが、タミフル服用後に、トラブルが起きるのではないかという意見があります。
そのため、10代のお子さんにはタミフルを投与することは控えることで、多くの医師が合意しています。
代わりに、イナビルというお薬が使われるようになってきました。
このお薬は、一日2回吸入するだけでウイルスを抑えられるというメリットがあります。
インフルエンザ治療薬のメリットについて述べましたが、実は、若くて体力がある方なら、熱が下がるのが一日くらい早くなるだけという側面もあるんですね。
ただし、患者さんはインフルエンザウイルスを、せきやくしゃみとともに排出しています。
お薬を飲むことで、ご家族が感染するリスクを下げられるというメリットがあります。
そのため、医師の診断を受けて、メリット、デメリットを考え、インフルエンザ治療薬を利用することが大事です」
インフルエンザにかかりやすい人は?
大竹「実は、生まれつきの遺伝的な体質で、インフルエンザに感染しやすい人は、ある程度決まるとされています。
これは、対処のしようがありませんが、一つだけ自分の努力でインフルエンザにかかりにくくする体質にする方法はあります。
それは禁煙です。統計的に見ても、喫煙される方は、インフルエンザにかかりやすいというデータが出ています。
タバコは、呼吸器にも負担を与え、様々な病気を併発しますので、禁煙するほうが好ましいといえます」
インフルエンザ発症を疑う症状
大竹「インフルエンザの症状でもっとも特徴があるのは、発熱です。
これは、インフルエンザウイルスを体が追い出そうとするためですが、発熱しているのに悪寒がするケースが少なくありません。
インフルエンザにかかっているか確定するのに医師は、鼻の粘膜に付着している体液を採集して、インフルエンザウイルスの有無を調べます。
ただ、感染したごく初期は、一般的な検査方法では、インフルエンザウイルスを検出できないことがあります。
(最新の検査機器では可能)
そのため、医師は
「周囲にインフルエンザに感染している人がいる」
「のどの奥に小さなイクラのような赤い粒ができている(後咽頭濾胞)」
「悪寒などの症状」
がある場合は、検査を行わずにインフルエンザ治療薬を処方することもあります」
子どもが熱を出した場合
大竹「お母様は、お子さんが急に発熱すると心配されると思います。特に夜間は、どのように対処するか悩まれると思います。
基本的には熱があってもお子さんがふだんと変わりなく、元気にしているようであれば、水分だけをしっかり与えて、朝まで様子を見て、かかりつけの小児科の先生に受診してもよいと思います。
ただし、「熱性けいれん」といって、高熱が続くとけいれんを起こす病気にかかりやすいことがわかっているお子さんは、かかりつけの小児科の先生の診察をすみやかに受けられない場合は、119番を利用して夜間の救急で適切な治療を受けたほうが好ましいといえます。
また、38度以上の発熱があって、
「ぐったりしている」
「食欲がない(母乳やミルクを飲まない)」
「普段と違って激しく夜泣きするまたはまったく泣かない」
などの状態に気づいたら、119番を利用してでも、早急に医師の診察を受けるべきだと思います」