認可保育園の通知が届き、内定をもらったママたちはホっと一安心している頃かもしれませんね。
一方で、4月からの復職に不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。

「ママボノ」は育休中、もしくは現在は子育てのために離職中のママたちが職場復帰するためのウォーミングアップと同時に社会貢献活動を行える場。

ママたちによるプロボノ(※1)として、2013年度よりスタートし、2016年度は日本財団の助成を得て東京で10チーム、大阪で2チームの大規模開催となるほど、現在、注目を集める活動の場となっていいます。

先日開催された本年度の報告会は、これから復職予定のママたちを激励する場ともなりました。

※1 プロボノ:専門的なスキル・経験等をボランティアとして提供し社会課題の解決に成果をもたらすこと。
20代~40代のビジネスパーソン、クリエイターを中心に新しい社会貢献の形として注目を集めています。

ママボノ経験者、ママボノの支援先であるNPO団体の代表理事、ママボノを取材していた新聞記者の男性が登壇したパネルディスカッションでは、ママボノの魅力や、復職に不安を抱えるママたちへのメッセージが集まりました。

ママボノはまるで異業種交流会。意欲的なママたちに刺激を受ける場

矢部 いづみさん

実際、ママボノに参加したママからは、こんな感想が挙がりました。

矢部さん「会社で仕事するのとは違って、ママボノのチームのメンバーはどのようなキャリアで、どのようなプライベートを過ごしているかも知らない初対面の人たち。

その中で人間関係を構築するのは良い体験で、自分のリーダーシップに自信が持てました。また、キャリアを磨くことに意欲的なママが多いので自分も刺激を受けました。」

藤澤 理恵さん

藤澤さん「普段会社で仕事では接することのない異業種の人と触れ合う多様性が、成果の幅や深さを大きくすることに気付きました。

女性だけのチームになってみて、女性ってこんなにリーダーシップがあるんだということがよくわかったし、普段会社では控えめにしているってことかもしれませんね。

世の中にどのようなインパクトがあるのか、どれだけたくさんの人に参加してもらう機会を作れるか、どのように目標設定するか、というNPOらしい成果の出し方を学べたので、自分が復帰したときも何を目標とするかに幅が持てるといいなと感じました。」

また、すでに復職している藤澤さんはママボノの経験がこのように役立ったと話してくれました。

プロジェクトではどのような成果を残したいかが大事

「ママボノではプロジェクトを始めるにあたって、どのような成果を残したいか、ということを一人一人じっくり話したので、復職する際も、同じようにしてみようと思いました。

いざ復職して、プロジェクトメンバーに『このプロジェクトの成果はどのようにしたいですか?』と切り出したらポカンとされたんだけど、実際聞いてみるとみんな想いを持っているし、印象深いプロジェクトになったとも思います。

仕事の中でマインドシェアを行うことは大事ですね。」

取材対象としてママボノを追っていた桜井さんは、ママたちの活動に引き込まれたと語ります。

桜井 陽さん

「自分は男性中心の職場にいるから、ミーティングでたくさん頷いている女性を見て『これは協調型のリーダーシップだな』と感じました。

ネットワークの張られ方も男性よりずっと早いし、育休を取得してこのような場に参加できるのは男性から見るとうらやましいくらいですね」

会社では人材開発に携わる矢部さんはママボノの価値をこのように分析します。

「企業側は育休をマイナスとして捉えがちで、『育休取得前と同じパフォーマンスを出してほしい』と考えがちだけど、自分自身はママボノを通して、育休はプラスになると感じました。

会社で受けるOff-JT(※職場外訓練)のような研修は、その場ではモチベーションが上がるけど、そのモチベーションを継続するのは難しい。

ママボノはもう少し長く携わることで、行動変革まで体験できる、Off-JTでもOJT(※日常業務を通じた従業員教育)でもない唯一無二の魅力を持っていると思います。」