「主演の自分の気持ちが通らなきゃ、客席にも通じない」

『月刊 染谷俊之』より 撮影:小林裕和

―― では、今まで演じた中で一番印象に残った役、あるいは作品はありますか?

染谷 出演させていただいた作品は全部大好きで、全部愛を持ってやらせていただいているので、一番は決めづらいんですけど……。

去年の12月に『剣豪将軍義輝~戦国に輝く清爽の星~』という作品で主演を務めさせていただいたんですけど、すごく歴史を知りたくなるようなおもしろい作品で。シリーズ第1弾、第2弾も出演させていただいて、第3弾で初主演だったんです。

そういう意味でのプレッシャーもあったし、僕は舞台上にほぼ出ずっぱりで、殺陣もすごく多かったんです。その作品はとても印象に残っていますね。

―― 普段から、作品に対する知識を深める作業は、惜しまず行っているのでしょうか?

染谷 もちろん、やらなきゃいけないことだと思っています。

『剣豪将軍義輝』は原作の小説があるんですけど、それだけだと僕は考察が足りないなと思うので、他の書籍もあたってみて、多角度から捉える努力をしたり。

僕らが歴史や役をしっかり理解してないと、お客さんに伝わらないんじゃないかと思うんです。舞台上の僕らだけが理解して「歴史ってすごいんだぜ」って思ってても、偏った知識で独りよがりになってしまうこともあるかもしれない……それがイヤなんですよ。自己満足で終わっちゃうんじゃないかと思う。

だから、客席にもわかりやすく伝えたいというのは、いつも考えてます。

―― 舞台の演出や役の解釈を相談したり、自分から意見をすることは多いんでしょうか?

撮影:小林裕和

染谷 作品によりますね。主演をやらせていただいた『剣豪将軍義輝』については、脚本まで「ここ、こうなんじゃないんですか?」とか意見を出して変えたりしました。

原作が上中下巻とあったんですけど、今回はその中・下巻を2時間くらいの舞台にまとめたんです。だから、筋がまかり通らない部分がどうしても出てくる。でも、僕が主演なのに、僕の気持ちが通らなかったら、客席にも通じないんじゃないかと思ったんですよね。

なので「このくだりはどうなんですか?」って議論したり、変更してもらった部分もありました。普段はあんまり脚本にまで口を出さないんですけど。そのときは自分が主演だったし、どうしても通したい筋があったんです。

ただ、僕らは作家ではないので、基本的にすでにある脚本でやらなければならないとは思っています。ディスカッションはする方かもしれないけど、基本、僕は稽古場に役を持っていくタイプなので。

―― “役を持っていく”とは?

染谷 自分で役を作り込んで、それを稽古場に持っていって提示する。「違う」と言われたら変える、ということです。「何が違うんですか? どうしたらいいですか?」という聞き方は、あまりしないですね。なので、脚本にまで口を出してディスカッションしたのは、『剣豪将軍義輝』が初めてだったかも知れないです。

―― それは舞台の出来には反映されましたか?

染谷 はい! 物理的にも体力的にもすごく大変だったけど、作品のことに関しては全力で頑張れたと思います。僕はそのとき座長だったので、その頑張る姿をみんなに見せたいと思って。将軍役でもあったので、家臣役のみんなに将軍役の僕への信頼を反映して欲しいなと、みんなについてきてもらえるように頑張りました。

―― 今回の写真集も、かなり役を作り込んだスタイルが目立ちますね。

染谷 本当に、ワンカットワンカット違う自分になっていったので、どんどん新しい自分になっていくのが楽しかったですね! 個人的には、小学生の頃からL'Arc~en~Cielがすごく好きなので、Hydeさんを意識したスタイルの写真を撮影したときはすごく昂ぶりましたね(笑)!

『月刊 染谷俊之』より 撮影:小林裕和
フォトギャラリー染谷俊之さん・撮り下ろし!&写真集カットフォトギャラリー(12枚)
  • 撮影:小林裕和
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