移動手段やインターネットの発達により、世界中の人々が簡単につながることができる時代になりました。
社会のグローバル化は、この先、ますます進むといわれています。特に専門的に外国語を学んだわけでもない、ママの世代なら日本国内で就職していたはずの子どもたちも、将来は世界に飛び出して行くかもしれません。
また日本国内でも、多くの外国人と出会うことになるかもしれません。
子育てやしつけにも、子どもたちの世界規模での活躍や、さまざまな場での異文化コミュニケーションを想定した視点が必要なのではないでしょうか。
そこで今回は、マナースクール「トリプルウィン」でグローバルキッズマナー講座を担当しているマナー講師の代田眞知子さんと、同じくマナー講師で、トリプルウィン代表取締役の森裕美さんに、グローバル時代を生きていく子どもたちのために、日本のママが子育てで心がけたいこと、気をつけたいことを伺いました。
1.あいさつは、目を見て、笑顔で
代田さんは、まずは何より、世界共通の基本マナーである「あいさつ」をしっかり実践してほしいと話します。
日本でも、あいさつは大切なマナーです。「うちは大丈夫。あいさつならちゃんとしてるし、子どもにもさせてる」というママも多いのでは?
しかし、代田さんが言うあいさつとは、ただ「おはようございます」「こんにちは」という言葉を声に出すことではありません。まして、日本でよく見かける軽い会釈でもないそう。
代田「あいさつはきちんと相手の目を見て、笑顔ですることで、初めて本当の意味を成します。英語ではあいさつの後に“How are you?”などと続けますね。自分があいさつをする相手を明確に意識しています。
日本でありがちな、なんとなくその場の空気に声をかけるようなあいまいなあいさつの仕方は、海外では失礼にあたります。また、笑顔は『態度と表情を一致させる』という意味において重要なマナーです。
それこそ、国籍が違っても、見た目の違いがあっても、どんな相手にも伝わるように、届くように、最善を尽くすためのグローバルマナーですから。あいさつは、そのはじめの一歩なのです。
私はあいさつできていると思った人は、今一度、自分の行動を振り返ってみてください。あいまいな表情や目線で、なんとなくあいさつをしていませんか?
今朝、家族と目を合わせて笑顔であいさつを交わしましたか?バスの運転手さんがしてくれたあいさつを無視しませんでしたか?お店でおつりをもらったとき、お礼を言えていますか?」
そう言われてみると、私たちが普段しているあいさつは、世界基準のマナーからはほど遠いものかもしれません。特に、家族へのあいさつはおろそかにしがち…。
元キャビンアテンダント(客室乗務員)だという代田さんは、続けて、国際線フライト時代の経験を話してくれました。
「外国人の乗客のお子さまは、ほぼ100%、飛行機に乗るときには私の目を見てあいさつし、降りるときには笑顔で“Thank you!”と言ってくれましたし、その保護者の方たちもそうでした。
一方、日本人のお客さまはというと、目を合わせてくれるお子さまは1~2割。もれなくその保護者さまも同じでした」
子どもは身近な大人の行動をよく見ていて、無意識に真似しています。まずはママがお手本として「目を見て、笑顔であいさつ」を徹底したいですね。
2.言葉を省略させない
森さんは、主語や述語を省略したり、結論をあいまいにしたりする日本語特有の言葉づかいにも気をつけた方がいいと話します。
森「日本の子どもは、何かほしいとき『ジュース』『毛布』などと単語だけで大人に伝えることが多いですよね。でも、海外で飛行機の乗務員やお店の人に何か頼むときは、『ジュースをください』『毛布を一枚お願いします』と言うのが正しいマナーです。
また、問いかけに答えるときも、『はい』『いいえ』だけでなく、“Yes, please.“(はい、お願いします)、“No, thank you.“(いいえ、けっこうです)がベター。敬意や感謝の言葉をひとこと添える、この意識がグローバルマナーなのです。
子どもが、自分の意志や要求が伝わるようにきちんと具体的に相手に説明する機会が少しでも増えるよう、大人が見本を示しながら、意識して声かけをしてあげるといいでしょう」
日本のママは、家で子どもに「ジュース」と言われれば、すぐ「はいジュースね」と出してあげることが多いと思いますが、普段の家庭での言葉の使い方も見直した方がよさそうです。