3.必要以上に子どもをサポートしない

また、代田さんは、日本の親は、海外の親に比べると、子どもを手助けしすぎる傾向があると指摘します。

代田「たとえばお出かけ中や旅行中に、子どもの荷物を持ってあげていませんか?海外の多くの国では、子どもでも自分の荷物は基本的には自分で持ちます。旅先、出先は子どもが成長するチャンス。そう考えて、なるべく子ども扱いしないのです。

フランスでは、レストランに食事に行く子どもは皆、少しドレスアップして出かけます。小さな紳士やレディとして振る舞わなければならない場だからです。ドレスアップして行った先では、はしゃいで騒いだり退屈だからとおもちゃで遊んだりすることは、子どもであってもマナー違反として許されません。

メニューも『私はこれを食べるけれど、あなたはどうする?』と親から聞かれ、自分でオーダーすることを求められます。子どもは、こういった場面から、決断することや自分の選択に責任を持つことを自然と学ぶことができますよね」

日本でも、レストランでは子どもにメニューを選ばせ、それを自分で注文させれば、マナーや話し方の練習にもなりそうです。

4.人前で堂々と話せるよう、背中を押してあげる

授業で発表するときに緊張したり、遠慮して大きな声が出せなかったり…。そんなシャイなタイプの子は少なくありません。

しかし海外では、日本社会以上に、自分の意見を堂々と明確に話すことが求められます。子どもの積極性を育むためには、成長過程での周囲の大人の態度や接し方がカギになると代田さんは話します。

代田「マナースクールのキッズマナー講座では、最終回に簡単な発表をしてもらうのですが、はじめのうちはなかなか目を合わせてくれなかった子が、みんなの前で素敵なプレゼンテーションを披露してくれることがあります。

そんなときは、『あなたの考えが聞けてうれしい。聞かせてくれてありがとう』と伝えています。すると、その子の目がいっそう前向きに輝くのがわかります。

話の組み立てが上手じゃなくてもかまわないのです。ちゃんと話せたら、子どもが自信を持てるような前向きな言葉をかけてあげることが大切。『あいさつしてくれると気持ちがいいね』などの声かけも、子どもの習慣づくりを後押しします。ぜひ心がけてみてくださいね」

ただ、いくら子どもに積極性を求めても、親が人前に出るのを避けていたら、子どもにも影響してしまいそうです。人と話すのが苦手というママもいると思いますが、普段から子どもの目を意識して、周囲の人と積極的に会話を楽しむようにしていきたいですね。

ときにはママ自身が、保護者会や結婚パーティなど大勢の人が集まる場で発言やスピーチをして見せるのもいいかもしれません。

まとめ

日本にいながらグローバル志向の子育てをするのは困難にも感じますが、家庭でママができることも意外とたくさんあるようです。

ママ自身がグローバルマナーの基本を率先して身につけて子育ての中で意識するとともに、広い視野を持って世界に目を向けていれば、その姿勢は自然に子どもにも伝わるのではないでしょうか。まずは今回、代田さん、森さんに教えていただいた4つのポイントを意識するところから始めましょう。

取材協力:代田眞知子

マナー講師。株式会社トリプルウィン取締役、グローバルキッズマナー/スチューデントマナー講座を担当。

日本航空株式会社30年勤務。ママさんCAのパイオニアとして乗務時間23000時間達成。国際線シニアスーパーバイザー。主に国際線ファーストクラス担当、人材育成にも携わる。早期退職後、青山セラピストスクールの副学長を経てマナースクール講師に。

 

取材協力:森 裕美

マナー講師。株式会社トリプルウィン代表取締役。日本航空株式会社にて30年以上にわたり、国際線客室責任者、客室マネジャー(管理職)として勤務。早期退職後、企業向け接遇・コミュニケーション研修、リーダーシップ研修、アンガーマネジメント研修、業績アップに繋がるマナー研修の他、グローバルマナースクール(横浜、三軒茶屋、三田、銀座)を主宰。

京都在住ライター。私大文学部を卒業し、会社勤めを経てフリーライターに。東京都内で活動した後に、京都市左京区に引っ越し出産。その後は京都で子育てをしながらライター業を続ける。インタビュー・取材記事をはじめ、カルチャー、ヘルスケア、生活などのジャンルで幅広く執筆。