今、おうちの中にキッズルーム(子ども部屋)ではなく、リビングの一角などにオープンの「キッズスペース」を作るのがトレンドになっています。
おうちでキッズスペースを作ると、どんな効果があるのでしょうか?
またキッズスペースの上手な作り方も知りたいですよね。そこで今回は、キッズスペースについて、家づくりの無料相談サイト「Rebroathome」で相談を受けている、住宅セレクトプランナーの牧原央尚さんに伺いました。
「キッズスペース」を作るメリットは?
おうちの中にキッズスペースを作ることは、教育や子育ての観点から、どんなメリットがあるのでしょうか? キッズルームがあればいいのでは、という疑問にも牧原さんにお答えいただきました。
大人の目が行き届く範囲で遊ばせられる
牧原央尚さん(以下、牧原)「家で過ごす時間の多い生活において、大人の目が行き届く範囲で子どもたちが遊んでいる状態にできれば、ママ・パパともに安心して家事ができるようになります。
特に長時間、手が離せない作業になる料理や洗濯を干す、取り込む、たたむの作業の家事の際に有意義です。
それを実現するためには、目が届く、声が届く、というのが最低限、必要な条件にもなってくるため、囲われたキッズルームとしてではなく、オープンなキッズスペースを設けるという発想は大切だと思います」
子どもの成長に合わせて可変性のある空間づくりをしておくと便利
牧原「『キッズスペースを設ける』という発想ではなく、可変性のある空間づくりをしておいたほうが後々、便利になることもあります。
お子さんの成長はあっという間に過ぎていきます。
未就学児(6年間)→小学校(6年間)→中学校(3年間)→高校(3年間)→大学や専門学校(4年間(2年間))と、大きく環境が変化する年齢も、それぞれの期間は大人の変化期間と比べれば、かなり短いサイクルでの対応が必要になってきます。
例えば、
- リビングで遊んでいる時期(未就学児)
- ダイニングテーブルで勉強や作業をするようになる時期(小学校低学年)
- LDKの中にあって、少しだけこもれるスペースで勉強ができるようなスペースが望ましい時期(小学校高学年)
- 個別の部屋にこもりたい時期(中学生以降)
と、成長とともに、最適なスペースというのも変わってきます。
特に、お子様の教育を考えると、適切なタイミングで適切に手を差し伸べることができることが大切といわれていますが、年齢ごとに次のようなことが重要といわれます」
1)未就学児
- 子どもが危ないことをしていないか? ケガをするようなことはしていないか?
- どんな遊びをしているときに集中して遊んでいられるのか?
- どんなときに笑って、どんなときに怒っているのか?
牧原「未就学児に対しての親の役割は、『子どもと寄り添いながら、観察』がメインになってくることも多く、こうしたときに子どもたちが遊ぶ最適な場所は、大人も目線が下がる場所、つまりリビングになってきます」
2)小学校低学年
- 勉強などで声がけをする
- 解らないことに対して、どのように調べたらいいのかを教えてあげる
- 解らないことに対して、どのように質問したらいいのかを練習する
牧原「双方向のコミュニケーションの取り方を学んでいく小学校低学年のタイミングでは、リビングというよりも、もう少し親との距離が近く、声が届きやすいダイニング周辺での環境が大切になってきます」
3)小学校高学年
- 集中して勉強するスペースの確保
- 本当に困ったときに親が助け舟を出せる、出しやすいようにする
牧原「小学校高学年以降では、本格的な勉強スペースの確保が必要になってくるように思います。LDKの中にあるけど、少し離れた場所のスタディーコーナーなどですね。
こういった空間は大人でも使いやすい空間にもなります」
4)中学生・高校生・大学生
牧原「中学生以上になれば、自分の部屋、LDKの勉強スペース、ダイニングテーブルと、子どもは、今度は自ら自分の性格に合わせて、最も集中できる場所で勉強をするようになってくるかと思います」
牧原「もちろん、未就学児の段階から、子どもの性格をしっかりと見極めて、その性格に最適な空間づくりを考えることも大切です。
はじめからキッズルームを設けるのは、余分な部屋を作ってしまうことになる可能性もあるということです」