おいしい料理を作る努力より、いかに楽しい食卓にするかの努力を

いつも賑やかに食卓を囲んでいるタサンさん一家

――忙しい現代の親も、余裕をもって子どもと食事を楽しめるようになるといいですよね。

志麻さん:疲れて帰ってきて無理に作って、イライラしながら食べさせるのは悪循環。子どもに「早く食べなさい!」ってなるのはもったいないですよね。食べることは、どんな世代の人も等しく楽しめる時間だと思うので。楽しまないと損です。

私も仕事が忙しくて余裕がないときもあるので、そういうときはお惣菜を買ってきたりすることももちろんありますよ。

子どもを産むまでわからなかったけど、子どもってすごく手がかかるじゃないですか(笑)。結婚しても、2人だけのときなら作って出して食べて…と、時間通りにできていたけど、子どもがいると全然予定通りにはいかない。

それでも無理をせず、楽しく食べられるように毎日努力はしています。努力といっても、おいしいものを作ろう!ということではなく、楽しく食べよう!というほうの努力ですね(笑)。

私はレシピの本も出していますが、なるべく無理なく作れるようにイメージして本を作っています。すべてのお母さん、お父さんに、無理せず、楽しく食事してほしいなって思っています。

タサンさんのお話を伺っていると、食事という毎日必ずある家庭の営みを、もっと楽しまないと損だな、と思えてきます。

肩の力を抜いて、まずは親が食事の時間を楽しむことで、子どもにもリラックスした空気が伝わり、食卓を囲む楽しさを感じてもらえるのかもしれません。

今回ご紹介したタサンさんのフレンチ流の食育のコツを活かして、ぜひ子どもとの食事を楽しんでみてくださいね。

【取材協力】タサン志麻さん

タサン志麻さん

大阪あべの・辻調理師専門学校、同グループ・フランス校を卒業後、ミシュランの三ッ星レストランでの研修を経て帰国。老舗フレンチレストランなどに15年勤務して2015年にフリーランスの家政婦として独立。
各家庭の家族構成や好みに応じた料理が評判を呼び、「予約がとれない伝説の家政婦」としてメディアから注目される。料理イベントやセミナーの講師、食品メーカーのレシピ開発など、多方面で活躍中。

エディター&ライター。エンタメ誌などの編集を経て、出産を期にライターに。ミーハー精神は衰えないものの、育児に追われて大好きなテレビドラマのチェックもままならず、寝かしつけたあとにちょこちょこと読むLINE漫画で心を満たす日々。