「元々プロのブーランジェとして、ずっと日本に興味がありました。今年シンガポールで2軒出店したのですが、それも海外出店の経験を積んで、パンのマーケットがより複雑でニーズも広い日本の展開に臨みたかったんです。
実はパリのモンマルトルにある1号店の店も、同じような角地にあって、外側からも店の中がすごく見えやすい店構えなんです。また若い人が多く集まる場所という意味でもパリと共通する部分が多く、自分の日本1号店としてすごく相応しい場所だと思いました」
伝統的な製法を代々伝えるパン・菓子職人(ブーランジェ・パティシエ)の4代目として生まれた、パン作りのサラブレッドであるゴントランさん。しかし彼の作るパンは伝統の枠に収まらない、独創的なアイデアにあふれたものばかり。渋谷のお店でも販売されている味噌やしそといった和の食材を取り入れたパンも、日本出店用の新作かと思いきや、すでにパリで大人気となっている商品なんだとか。21歳のときに3つ星レストランで修行をし、その後世界各国を旅しながらパンを作り続けてきたという経験が、彼の鋭い感性を育てました。
「元々食いしん坊なんですが(笑)、若い時から3つ星レストランで修行したことで、パンの世界だけでなく料理の世界との出会いがあり、食への興味がさらに広がりました。特に素材の扱い方や、スパイスや色に重点を置いて、ひとつのクラシックな食材があったらそこに必ず新しい発見を加え、これとこれを混ぜたら新しい味が生まれるんじゃないかとか、料理人が料理を作るような感覚でパンを作っています。
どこでも買えるパンをつくるのではなく、旅の中での人との出会いや自分の好きなもの、自分の気持ちを盛り込むことで、必然的に他とは違うゴントラン・シェリエのパンになるんだと思います。パンを買ってくれる人にとっても、これまでのクラシックなパン以上に、新しいパンの食べ方や楽しみ方を提案していきたいですね」