Photo by Kenji Miura

ユニコーンのナンバー披露も!ライブは2部へ

ルール無用の自由な選曲も、『ひとり股旅』の大きな魅力だ。

ユニコーン・EBIの生誕50周年記念ライブ「EBI50祭“海老乃大漁祭”」(2015年)の祭囃子的ナンバー“TAIRYO”から、渋い低音域を聴かせた“私はオジさんになった”、さらに90年代の人気曲“車も電話もないけれど”とユニコーンのナンバーを連発。

感染予防の観点から、歓声や会場一丸のシンガロングこそないものの、会場もリモート観覧も超えた大らかな一体感を、肩肘張らないその歌と演奏は力強く描き出していた。

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二部構成のこの日のアクトはここで「1部」終了、15分ほどのブレイクを経て始まった「2部」では民生がポジションチェンジ。

プライベートスタジオ「ヘロスタジオ」をそのまま舞台上に持ってきたような機材群とともに、アナログDIY宅録シリーズ「カンタンカンタビレ」を彷彿とさせるスタイルでスタートした。

背後に緑のスクリーンを下ろし、ビジョンに映し出された自分の背景に「マキシマム ザ ホルモンから届いた花輪」や「事前に撮ってきた東京タワーや観覧車」の写真をクロマキー合成したところで、「これにオケが入ってるので、それに合わせてやってみようと思います」とオープンリールを再生して、THE COLLECTORSへの提供曲“悪い月”を披露。

「カンタンカンタビレ」で自ら全パート演奏&録音していたドライブ感満載のトラックに、滋味とロック感を備えた民生の歌が重なり、ダイナミックな躍動感を生み出していった。

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「今年あんまり仕事してないけど、やった中のひとつです」とミキサーを操作しながら高らかに響かせたのは、アニメ『ハクション大魔王2020』の主題歌“サテスハクション”。

グラマラスなバンドアレンジと『ハクション大魔王』の世界観を共存させ、それを軽快なロックナンバーとして歌いこなす、という二重三重の離れ業が、一見ラフなパフォーマンスからも明確に滲んでくる。

“トキオドライブ”に続けて、東京スカパラダイスオーケストラの“Paradise Has No Border”カバーを、まさかのスライドホイッスルで演奏。

「これね、やるたびに下手になってく気がするんですけど……」と本人は苦笑しきりだったが、懸命に音程を取ろうと奮闘する民生の姿が、この日のライブの珠玉のスパイスになっていたことは間違いない。

そして、リズムボックスの刻むビートをバックに“最強のこれから”。熱くギターをかき鳴らしながら響かせる剥き身の熱唱が、強く深く胸を震わせた。

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