撮影/奥田耕平
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ロックバンド、シドが11月23日より配信シングルを3曲連続でリリースする。このコロナ禍でシドのメンバーがなかなか会うことができないファンとの絆を思いながら制作された3曲は、シドの持つ多様な世界観をそれぞれ楽しめる作品となっている。

この配信リリースを受けて、12月23日(水)にはこの3曲を1枚にまとめたCDシングル『ほうき星』がリリースされることも決定。

このインタビューでは、コロナ禍でライブができない中、シドの4人それぞれが感じた、ファンへの思いを2週にわたってお届けする。

いつでも時代を真正面から受け止め、逃げない姿勢を貫くシドが17年の歴史の中で紡いできたファンとの絆。その深さがメンバーが語る言葉から見えてきた-。

コロナ禍で待っていてくれるみんなの気持ちを考えて曲の方向性を決めた

撮影/奥田耕平

――今回の3曲は「コロナ禍でファンとの絆を見つめなおして制作された」とのことですが、制作の経緯を詳しく教えてください。

明希 曲を作って新譜を出したいという発想自体は緊急事態宣言の真っただ中からあったんですけど、河口湖ステラシアターでやるはずだったライブ(※2021年5月に延期された『SID LIVE 2020 -Star Forest-』)の調整からしなきゃいけないとか、いろいろな順番とかやらなければいけないことがあって。

そもそもすでに決まっていたものでやれるもの、例えばソロのほうの活動だとかの調整をしながら、できることを進めていく中で、やっとこの時期にシドとしての新しい音源を出せる準備が整いました。延期になっていた河口湖のライブの日程発表もちゃんとして、ようやくこの新曲リリースの発表ができたかな、という感じです。

――曲は前から制作をされていたものの中から選ばれたんですか?それとも一から新しく制作されたんでしょうか?

明希 つい最近みんなで話し合って書き上げました。2カ月前くらいかな、けっこう急ピッチでしたね。

この時期に自分たちの表現というものが何もなく終わるのは違うし、僕らも音楽活動を止めない姿勢をファンの人に伝えたいというのが一番あったのかなと思います。

――今回、リリースのための曲の制作を始めたときには、4人でどんなお話をされたんでしょうか?

ゆうや コロナ禍において、僕たちが考えることと、待ってくれているファンの方たちが考えている、感じているであろう気持ちについて、話し合いました。こういう状況で僕らがお客さんに音楽を届けるのって、こういうことなんじゃないかなっていう、それがたぶんテーマで。

こういうテイストの楽曲がいいよね、というのがポンポンポンと上がってくる中で、そしたら作曲者が3人いるから、それぞれが1曲ずつ担当して3曲をリリースするというのはどうだろうという話で進みました。

撮影/奥田耕平

――シドの魅力は3人の作曲者がそれぞれ違ったテイストの曲を作れるところにもあると思うのですが、シングルの表題曲にもなっている『ほうき星』に関しては、Shinjiさん、いかがですか?

Shinji これは自分らしさを前面に出して作りました。新しいことを追求する、というのはいつも新曲を出すときに意識しているんですけど、自分らしさを出すというのもすごく大事かなと今、思っている時期なんです。特にこの曲には自分らしさをすごく詰め込みました。

――どのあたりに自分らしさが出ていると思われますか?

Shinji それは聴く人それぞれに感じてもらうものでもあると思うんですけど、これはみんな同じだと思いますが、「いい曲が好き」というか。バンドが映える曲というのもそうなんですけど、主軸としていいメロディーというのを常に作りたいと思っていて。

その中でこのコロナ禍では家にずっといたりすると、みなさんと一緒で僕も気持ちが沈んでしまったりとかあって。うさんくさいかもしれないですけど、元気をもらえるような、そういう曲を目指して作りました。

――歌詞に関して、「戻れないならゼロを楽しもう」というのがすごく今の状況で刺さるフレーズでした。

マオ シドは17年やってきて、ファンとの歴史がしっかりあるバンドなので、だからこそこの言葉を選べたと思います。

始めたてのバンドだったら、ゼロを楽しもうという感覚よりは、数年前のほうがよかったなあという感覚になると思うんですけど、長くやってきた歴史があるから、このコロナの中でも僕らの関係値だったり、音楽だったりをぶれさせずにやれているということを表現したかったんです。

撮影/奥田耕平

――対面でのライブができない中でもオンラインのトークイベントをされたり、ソロでの配信ライブやイベントをされたりなど、積極的にファンとの交流をしてくださっているシドですが、オンラインイベントはされてみて、いかがですか?

マオ 最初はもちろん、手探りでしたけど、それは世の中的にみんなそうだと思うので、自分らだけが手探りなわけではないので、そこの怖さはなかったです。

ただ、単純に、僕らもそうですけど、ファンのみんなのほうが不安だろうなっていう気持ちがあって。どちらかと言えば、ファンのみんなを待たせているようなイメージがすごくあったので、それを解消するにはとにかく交流をできる回数を増やす、というのが一番優しいのかな、と思って、そういうところを意識しながら活動しています。

明希 オンラインでのライブも、これから主流になるのかどうかわからないですけど、逆に言えば今でしかない表現でもあると思うので、自分もやったほうがいいと思ったし、見てくださる方も喜んでくださるので、精力的にやろうと思っています。

生でのライブとそんなに違いは感じていません。確かにお客さんは目の前にいませんけど、こちら側としてはやることは変わらないんですよね。配信だからといって配信っぽく、というのも何が配信っぽいのかわからないし、生の自分たちがやっている音を画面越しに伝えるというだけなので、演る側の気持ちは変わらないです。

――観てくれているファンからの反応をごらんになっての、手ごたえはいかがですか?

明希 観てくれる人も徐々に増えているので、少しずつ自分たちのやりたいことが伝わっているのかなと思います。対バンもしたりしているので、アーティストみんなが同じスタートラインに立った配信ライブで面白いことをやったらそれだけ目立ちますし、面白いと思ってもらえるかなと。この時期だからこその新たな楽しみを見つけてもらえたら嬉しいなと思います。

ゆうや やっぱり、楽しいというところでいえば、外でやるほうが楽しいのかもしれないですけど、今、これしかできないという中でやってみたオンラインイベントは、やってみて、途中から楽しいなと思えてきました。

ずっとやってきたこととは違う扉が開いて、それを模索していくってなかなかできないことなので。オンラインでしかできないこともあったりして、それができるのがちょっと面白いなって思います。例えば1対1の対話とかもそうですよね。

今度、自分の誕生日のイベントをZoomでやるんですけど、ファンの方と1対1で会話をする時間があるんです。それってまあできないよなって思うと、こういう時代のこういうツールを使うと、ファンをこんなに近くに感じるんだなっていうのもあると思うんです。

Shinji オンラインでのライブは僕はまだやっていないので、すごい楽しみです。お客さんがいない中で演奏するのにそこまで僕は抵抗はなくて、今までにお客さんが1人とか3人とかのライブも経験してきているので、そのほうが大変だったかな(笑) 4人で音を出すというのはしばらくできていないので、楽しみですね。