FEEL SO BAD『バリバリ最強No.1』(『地獄先生ぬ~べ~』OP)
『週刊少年ジャンプ』に連載されていた少年漫画をアニメ化した『地獄先生ぬ~べ~』は、1996年から97年に渡ってテレビ放映されたアニメ作品。
霊体や妖怪を滅する「鬼の手」を持つ教師、"ぬ~べ~"こと鵺野鳴介が自身が受け持つ生徒たちを守るために怪異の数々と対峙する姿を描くアクション作品です。
エロとコメディがふんだんに盛り込まれた作風で、劇中の過激なお色気描写が今も語り継がれる『地獄先生ぬ~べ~』ですが、その怪奇描写やホラーシーンは本格派も本格派。
日本の伝統的な妖怪に加えて、学校の怪談や都市伝説も劇中には度々登場し、怪奇漫画としては非常にモダンな作風になっていた点も本作の個性に繋がっていました。
リアルタイムで原作漫画やアニメ版を見ていたアラフォー世代の読者の中には、「はたもんば」や「赤いチャンチャンコ」「ブキミちゃん」といった個性豊かな"怪異"の数々にトラウマレベルの恐怖を植え付けられた方も多いことかと思います。
アニメ版の主題歌に起用された「FEEL SO BAD」の『バリバリ最強No.1』は、とてもテンションの高いヘヴィメタルサウンドが特徴の楽曲。重さとラウドさはシッカリと残しつつも、ポップな歌モノとしてバランスの取れた編曲が今聴いてみても素晴らしく、明るく、尚且つハードな楽曲は、『地獄先生ぬ~べ~』の作品世界にも不思議な程マッチしていました。
大手レコード会社の「ビーイング」によるアニメ作品へのタイアップが活発に行われていた90年代において、その音楽性と作品性が奇跡の邂逅を果たした名アニソンといえるでしょう。
島みやえい子『ひぐらしのなく頃に』(『ひぐらしのなく頃に』OP)
竜騎士07さん製作の同人ノベルゲームを端を発し、様々なメディアでシリーズが展開された『ひぐらしのなく頃に』は、2000年代を代表するホラー、ミステリー作品のひとつ。
架空の村落「雛見沢村」を舞台に怪奇的、猟奇的な物語が繰り広げられる本作において、決して欠かすことができない歌姫が、島みやえい子さんです。
島みやさんは、同シリーズのミディアミックスとして展開されたアニメや実写映画において、多くの作品でその主題歌を担当。その歌声で、『ひぐらしのなく頃に』という作品に独自の彩りを加えました。
アニメ版の第2作で使用された『奈落の花』も捨てがたいのですが、今回は、初代の無印『ひぐらしのなく頃に』から、作品名そのものを曲名に引用した本曲をピックアップします。
グネグネウネウネしたアシッドな電子音と、流麗でありながら、一方でどこか神経症的なヒリヒリしたニュアンスを宿す鍵盤のサウンドが曲の全編に不穏な空気を醸し出すこの曲は、劇中のホラーでサスペンスフルな惨劇のイメージにもピッタリで視聴者に決して忘れられないインパクトを与えました。
この曲がメジャーデビュー曲となる島みやさんの歌声も雰囲気タップリで、KOTOKOさんや川田まみさんといった他の「I've」発の女性シンガーとはまた異なる独自のアーティスト性をリスナーに印象付けたナンバーです。
また、トラックと歌声が素晴らしいのは勿論のこと、恐怖譚としての日本情緒に溢れた剣呑な言葉がズラリと並ぶ歌詞も秀逸で、特異な存在感をアニソンのヒストリーに残した本曲。まさに、2000年代を代表する傑作"ホラーアニソン"です。
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