WAGDUG FUTURISTIC UNITY『SYSTEMATIC PEOPLE featuringマキシマムザ亮君』(『黒塚 KUROZUKA』OP)

夢枕獏氏による伝奇SF小説を原作としたアニメーション作品。『DEATH NOTE』や『進撃の巨人』『鋼鉄城のカバネリ』といった話題作を世に送り出している荒木哲郎さんによる監督作です。

源義経と不老不死の力を持つ妖艶な吸血鬼、黒蜜のふたりを主役にした作品で、鎌倉時代から近未来まで、時間軸をダイナミックに移しながらの愛と血の物語が紡ぐれます。

劇中での時間が複雑に移り変わる為、ストーリーにおいてやや難解な面はあるものの、時に陰惨なバイオレンスやグロテスクな描写も厭わない硬質な作劇や、良い意味でアクの強いキャラクターの描写、そして美しいアニメーションは、物語の複雑さを補って余りある強い引力を携えています。

オープニング曲は、「THE MAD CAPSULE MARKETS」のメンバーであるKYONO氏によるプロジェクト「WAGDUG FUTURISTIC UNITY」が楽曲を提供。

この曲のインダストリアルかつハードコアパンクなサウンドとハードなアクションシーンがハイブリッドしたオープニングアニメーションには、シンプルに「最高!」と言いたくなる程のカッコ良さがありました。

テレビアニメの主題歌としては、かなりハードなナンバーですが、この頃のMAD HOUSEによる深夜アニメは、その主題歌にパンクやラウドロック、オルタナティヴ・ロックやV系といったロックスピリッツに溢れたバンドサウンドが使用されており、『黒塚 KUROZUKA』でのWAGDUG FUTURISTIC UNITYの起用も、そうしたアニメとロックのクロスオーヴァーのひとつでした。

夏フェスシーズン真っ盛りな今の時期にオススメなロックでパンクな1曲です。

能登麻美子『かりぬい』(『地獄少女』ED)

午前零時にだけWEB上に現れる不思議なサイト「地獄通信」。そこに怨みを持つ相手の名前を書き込むと、その相手を地獄に落としてくれる少女、閻魔あいに会うことができる。しかし、もしも、相手を地獄に落とすと、依頼者自身も死後に地獄行きとなり永遠の責め苦を味わうことになる……。

人間の因縁にまつわる物語が展開される『地獄少女』は、2005年から2006年に掛けて放映された第1作を皮切りに、現在までに全4作が制作されている人気シリーズ。

怨みや妬みなど、人間が抱くマイナスな感情を起点としたオムニバス形式で物語は進行。その"因果応報"なストーリーも含め、実に日本的な怪奇物語ではありますが、短編形式故のバラエティに富んだエピソードの展開や、独特の色彩感覚による演出術など、"エンターテインメント"としての見どころも多く、シンプルなオカルト・ホラーでは終わらない深みを持った作品です。

また、アニメ声優ではない役者やタレントを起用したナレーションも独自性があり、本作のおどろおどろしい世界観の盛り上げに一役買っていました。

主題歌のオススメ曲は、第1期のエンディング曲として使用された『かりぬい』です。劇中で閻魔あいを演じる能登麻美子さんによるこの曲は、三重野瞳さんのペンによるどこか物悲しく、空虚なニュアンスが感じられる歌詞が印象的な楽曲です。

能登さんの声を全面に押し出す為か、アレンジもギターのアルペジオを中心としたシンプルなアコースティックサウンドとなっており、雰囲気もタップリ。

シングルのリリースは行われず、サウンドトラックアルバムにしか収録されていない曲なのですが、高梨康治さんや水谷広実による劇伴も良曲揃いですので、アルバムを購入の上、フルサイズで楽しんでいただければと思います。

都内在住の極々平凡なサラリーマン兼、アニメ、音楽、プロレス、映画…と好きなものをフリーダムに、かつ必要以上に熱っぽく語るBLOG「さよならストレンジャー・ザン・パラダイス」管理人。永遠の"俺の嫁"である「にゃんこい!」の住吉加奈子さんと共に、今日も楽しいこと、熱くなれることを求めて西へ東へ。