昨今、学校が行う性教育とは別に、子どもたちに正しい性教育を受けさせたいという風潮が生まれています。

いまだに性のことをタブー視する考えもありますが、防犯の意味でも性教育は重要です。ですが、何歳から始めたらいいのか戸惑う親も少なくないでしょう。

フクチマミ・村瀬幸浩著『おうち性教育はじめます一番やさしい! 防犯・SEX・命の伝え方』を参考に、おうちでできる性教育について説明します。

性教育は3歳から

2020年には性教育に関する書籍が多数出版され、親子で受けられるワークショップも増えてきました。

昨今は性被害のニュースも増えていますから、自分の身を守れるように、また他人に性的加害をする側にならないように、ちゃんと子どもに性教育をしたいと思う大人が増えているのでしょう。

フクチマミ・村瀬幸浩著『おうち性教育はじめます一番やさしい! 防犯・SEX・命の伝え方』には「性教育は3~10歳が大切」とあります。

地域や学校にもよりますが、性に関することを子どもが教わるのは学校では小学校3・4年からです。4年生といえばすでに10歳。それでは遅すぎるということでしょうか。

本書の中で性教育は幼児期からとする理由は以下の通りです。

  • 学校の性教育は月経や射精については教えるが、受精のしくみや性交については取り扱わないから
  • 思春期の子どもに突然性の話をするのはハードルが高すぎるから
  • インターネットに触れる年齢は低年齢化しており、子どもが性の知識をインターネットのアダルトサイトから得ることの危険があるから

いまだに「性のことはオープンにすべきでない」「早すぎる性教育は寝た子を起こすことになる」という意見はあります。ですが、性教育を義務化しているオランダでは15歳までの性交渉体験率が低いのだそうです。学ぶことでかえって慎重になるのですね。

おうち性教育は、子どもの幸せを守るための教育です。将来の自己肯定感とも関係があるとされますから、早いうちから日常生活のなかで伝えていけるといいですね。

おうち性教育は「プライベートパーツ」を教えることから

©Mami Fukuchi & Yukihiro Murase

さあおうちで性教育をしようと思ったとき、まず子どもに教えたいのが「プライベートパーツ」についてです。

そもそもからだは全部分その人のものですが、他人が(親であっても)勝手に触ったり触らせたり、見ようとしたり見せたりしない、からだの部分のことをプライベートパーツといいます。

性器を始め、おしりや胸、それに口がプライベートパーツに当たります。これらは妊娠・出産・性愛・生命につながる大事な部分だからです。

性教育は子どものなにげない好奇心や疑問から始めることが可能です。難しく考えてしまうと、子どもには伝わりません。

たとえば、男の子なら自作の「おちんちんの歌」を歌い出したりすること、ありますよね。それは自分の体に興味を示している表れ。そんなときこそ「おちんちんは体の大事な部分だよ」と教えるチャンスなのです。

大事な場所だから「他人から勝手に触られたりいやだと感じたりしたら、はっきりいやだと伝えていい」ということも、合わせて伝えていきたいですね。それを徹底させるためには、親であってもお世話や看護で必要なとき以外は子どものプライベートパーツには触れないことが重要です。

子どもが低学年くらいまでだと、親はかわいいからといっておしりを触ったりしてしまいそうです。ですが親がはっきり線引きをしないと、子どもは他人が近づいてきてプライベートパーツに侵入しようとすることを好意の表現だと思って拒否できなくなることも。さらに深刻な性被害に遭う可能性がないともいえません。