文部科学省の調査(平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」)によると、近年、小中学生の不登校は増加傾向。
周囲でも、子どもが不登校になったという話をよく聞きます。いじめや友人関係のトラブル、両親の不和といった明確な原因があるケースばかりでなく、はっきりした理由はないのに「なぜか行けなくなる」というケースも少なくないようです。
先述の文科省の調査でも、不登校の主たる要因として多く挙がったのは「『不安』の傾向がある」(30.6%)、「『無気力』の傾向がある」(30.2%)という漠然とした精神的なもので、「『学校における人間関係』に課題を抱えている」(17.2%)を大きく上回っています。
なぜこんなに多くの子どもたちが、学校に行けなくなるほどの不安や無気力を抱えてしまうのでしょうか。
親子関係に悩む女性専門のカウンセラーで、『お母さん、私を自由にして!』著者の高橋リエさんに、外からは見えにくく、親や子どもも気づきにくい不登校の原因について伺いました。
これといった理由もなく不登校に…。よくある要因とは?
高橋さんによると、一見大きな理由はなさそうなのに、些細なきっかけから急に学校に行けなくなるケースでは、子どもの子どもの「元気」=「生きるエネルギー」が低下している可能性があるといいます。
エネルギーが低下する原因としては、主に、次の2つが考えられるそう。
1.長年の親の過干渉によるストレス
高橋さん(以下、高橋)「もっとも多いのが、親の過干渉が日々ストレスになっていて、家でゆっくり休んで回復することもできないため、エネルギーが低下し続け、学校という集団生活のストレスに耐えられなくなるというケースです。
親の過干渉な言動とは、子どもの持ち物から友人関係に至るまで監視して細かく口出ししたり、子どもの普段の行動や進路、成績について、常に指示、命令、ダメ出ししたりすることです。
そのような過干渉な親のもと、子どもが本当にやりたいことができない環境で育つと、『ストレス過多』と『喜び不足』があいまって、子どもが持つ生きるエネルギーがどんどん低下します。
この現象は、幼いときから少しずつ進行してきているため、親も子どももそのことに気づけません。
そして、もうそろそろ限界というときに、友達との間のトラブルや先生の注意など、ちょっとしたストレスが加わると、身体が動かなくなり、不登校になってしまうのです」
2.もともと、子どもが神経過敏なタイプ
特に親が過干渉ではない場合は、もうひとつの要因も考えられるそうです。
高橋「その子が生まれつき、あるいは乳幼児期の体験などが原因で、神経過敏で緊張しやすいタイプであるケースです。
そういう子たちは、ふだんから、ふつうの子より緊張していて、消耗しやすく、ストレスを感じやすいため、エネルギーの低下が早まる傾向があります。
車酔いに例えると、自律神経が正常な状態であれば、車が多少揺れても大丈夫ですが、もともと緊張した神経過敏な状態になっていると、車の揺れを大きな負担と感じて、吐いてしまうなどの症状が出ることがあります。
神経過敏タイプの不登校は、それと似ています」