領議政一門からうかがえる安東キム氏の絶大な権力

ドラマでは、王イ・ギョンの母の大妃キム氏が、一族の出身であることでキム・マンチャンが領議政となったのか、彼がその地位にあるがゆえにキム氏が王妃となったのか、その経緯までは描かれていない。

それでも、マンチャンの弟は宮廷内の文書管理や文官の登用などを統括する弘文館に属する大提学(テジェハク)で、息子も政治を論評し風俗をただすなどの役目を担う司憲府のトップ、大司憲(テサホン)という要職にあるとの設定からは、安東キム氏の勢力が並々ならぬもので、権力のなれ合いの構造が出来上がっていることがうかがえる。

ちなみに彼らの品階は正一品の領議政、正二品の大提学、従二品の大司憲の順で、ウンボの父カン・イスが弘文館の副提学(プジェハク)で正三品だったのを見れば、明らかに彼らのほうが高い地位にあることが分かる。

そして、キム・マンチャンは最初の揀択(カンテク)で娘が脱落すると、2度目は姪を参加させる。朝鮮時代、宮廷に属する女性たちは内命婦(ネミョンブ)と呼ばれ、男性と同じく彼女たちにも正従それぞれ九品に分かれた品階があった。

彼女たちを統率する王妃の下、正一品の嬪(ピン)から従四品の淑媛(スグォン)まで、8つの品階を与えられた側室がおり、彼女たちを世話する正五品の尚宮(サングン)以下、宮女がその下に続いた。朝鮮前期には側室を選ぶにも揀択(カンテク)が行われたこともあったが、時代が下るにつれてそうした事例はなくなっていく。

劇中、カン・イスは開明的な思想を著した書物『開化論』がもとで、安東キム氏の企みにより命を落とす。当時、王が統治するのではなく、民自身が治める民主的な社会を理想とする考えが生まれていた。こうした思想の芽生えに、王朝の終焉が近かった世相を感じ取ることもできる。

<ストーリー>

王イ・ギョンが一命を取り留め、再び揀択(カンテク)が行われることになった。犯人を追っていた情報屋ウンボは、亡き王妃が双子の姉と知り、父の旧友の手引きで身分を偽って揀択(カンテク)に参加。王がウンボに寄せる深い思いに左議政の娘ヨンジは嫉妬し、領議政の姪ソンイは一計を案じる。

『韓流ぴあ』2020年8月号より抜粋

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『韓流ぴあ』ブレーンライター。香港映画から始まって韓国エンターテイメントの魅力に目覚めて20数年。ドラマをはじめとする韓国エンタメについて取材・執筆する日々の中、韓国作品のほかに中国時代劇や台湾作品に割く時間が増加中。

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