台南のチカラめしを自宅で再現
先日、日本のスーパーで高級肉が並ぶコーナーに美味しそうな米沢牛を見つけたとき、ふと牛肉湯を再現できないかと思い立った。牛肉湯はとにかく、素材となる牛肉が要だ。
調べてみると、特別な材料は使わず、美味しい牛肉と時間さえあれば台南風の牛肉湯は実現する。普段は手を出さない米沢牛をほんの数枚だけエイッと購入してさっそく実行してみた。
牛肉湯は牛肉とスープだけのシンプルな料理。だから、牛肉もさることながら、スープもとても大事だ。これには時間をかけたい。主役の牛肉以外の材料は、ダシ用の牛筋肉と冷蔵庫にある野菜。
こちらはスーパーで安売りしている牛筋肉でもかまわない。クタクタに煮込んで出しを取ることが目的だが、あとから牛筋シチューにもできるので一石二鳥。
まずはタマネギ、キャベツ、ダイコン、ニンジンなどを豪快に刻んでおく。タマネギ1個、キャベツ1/4個、大根1/2個、ニンジン1本。最初に牛筋肉を茹でこぼし、刻んだ野菜と一緒に煮込む。
丁寧にアクを取りながら1〜2時間ほど煮込む。野菜がクタクタになってスープに香りが染み出したら、最後に醤油と塩だけを加えて味を調える。
あとはお椀に薄切りの牛肉(今回は米沢牛)を入れて、アツアツのスープを注げば台南風の牛肉湯だ。
食べるときはぜひ新生姜(なければ普通の生姜)の千切りを添えてほしい。
タレは醤油膏というとろみのある甘い醤油。これは作り置きしておくと何かと便利。砂糖、醤油、水各大さじ2、オイスターソース小さじ1、ニンニクとショウガのすりおろし各少々を小鍋にかけて煮立たせ、最後に水溶き片栗粉でとろみをつける。
薄切り肉は霜降りなど脂が多いものよりも、赤身を選ぶとより台湾の牛肉湯に近くなる。
今回は米沢牛を使ったためか、それとも単なる気分的なものか、なんとなく上品な牛肉湯になった。スープを煮込んでいたら夕方になってしまったので夕食にいただいたが、次は前夜からスープを仕込んで、台南人のように朝から牛肉湯を食べてみたい。
オンライン講座のお知らせ
8月6日(金)20時から、本コラム筆者・光瀬憲子のオンライン講座があります。今回のテーマは「台湾人が好きな台湾の食べ物」です。詳細は追ってお知らせします。