OToGi8『赤頭巾ちゃん御用心』(『オオカミさんと七人の仲間たち』ED主題歌)

和製ロックバンド「レイジー」のヒットナンバー『赤頭巾ちゃん御用心』を女性ユニット「OToGi8」がカバーしたのがこの曲。

レイジーは、影山ヒロノブさんや株式会社ランティスの社長である井上俊次さん、そして、ハードロック、ヘヴィメタルバンド「LOUDNESS」の高崎晃さんと故・樋口宗孝さんらが在籍していたバンドで、日本の「アニメ(特撮)ソング」と「HR/HM」の両音楽シーンに多大な影響を与えた偉大なグループです。

しかしながら、『赤頭巾ちゃん御用心』発表当時のレイジーは、まだアイドルバンドとしてのイメージが強く、原曲も「ベイ・シティ・ローラーズ」を彷彿とさせるスイートなラブソングであり、活動後期の音源で聴くことができるハードロックやヘヴィメタル的なエッセンスはほとんど見当たりません。

バンドが目指していた音楽性との間に大きなズレを持つ曰く付きの1曲なのですが、このカバーバージョンでは、そのポップな歌メロの魅力が女性ヴォーカルとコーラスの可愛らしさで見事に引き出されており、原曲とはまた違ったニュアンスで耳を楽しませてくれる良曲となっています。

チップチューンを思わせる電子音での編曲も大正解で、楽しくも大胆なアレンジが最大の聴きどころとなっています。

なお、OToGi8は、三上枝織さんや井澤詩織さん、原紗友里さんといった今では超売れっ子となっている声優さん(と、アイドルグループ「アフィリア・サーガ・イースト」のメンバー)が結成していたユニットで、その初々しい歌声が聴けるという意味でも声優ファン的には必聴な楽曲です。

藤宮香織(雨宮天)『奏(かなで)』(『一週間フレンズ。』ED主題歌)

ソロ名義や「Trysail」での音楽活動、そして、数多くの作品内ユニットやキャラソンで充実のリリースを重ねる雨宮天さんが、自身の主演作『一週間フレンズ。』のエンディング曲として、「スキマスイッチ」の人気曲をカバー。

劇中のヒロインである「藤宮香織」名義でのキャラクターソングという形式でリリースされた音源であり、本格的なソロ活動のスタートやTrysailの結成前にテレビアニメの主題歌として使用された楽曲ということで、この曲で"シンガー"としての雨宮天さんの実力を知った方も多かったことかと思います。

原曲のメロディや楽器のニュアンスがほぼそのまま使用されており、その歌メロを見事に歌いこなす雨宮さんの高い歌唱力が最大の聴きどころです。

『一週間フレンズ。』は、記憶障害の為に1週間で友達にまつわる記憶がリセットされてしまうヒロインを中心とした切なくも瑞々しい青春恋愛作品ですが、恋人との出会いと別れを巧みな心理描写と情景描写を交えて描く歌詞も、その作品性に強くマッチしており、作品の情感を更に盛り上げました。

カバーの完成度と共に、選曲のセンスも光る曲です。

Prizmmy☆『EZ DO DANCE』(『プリティーリズム・レインボーライブ』OP主題歌)

劇中に登場する男性キャラクターを中心としたスピンオフ作『KING OF PRISM』を生み出した『プリティーリズム・レインボーライブ』も、その主題歌に大々的にカバー曲と使用していたテレビアニメ作品の一つ。

オープニング曲に「TRF」による大ヒット曲の数々が、ガールズダンス&ヴォーカルユニット「Prizmmy☆」によってリメイクされ、その作品世界を彩りを加えました。

主題歌として使用された楽曲は、『BOY MEETS GIRL』『EZ DO DANCE』『CRAZY GONNA CRAZY』の3曲で、いずれもPrizmmy☆のパフォーマンスとオープニングアニメーションが素晴らしい出来になっているのですが、やはり、ベストを挙げるとなると、『EZ DO DANCE』でしょう。

リメイクされた3曲の中でも、特にハードなアレンジが特徴で、原曲のレイヴサウンドにダブ・ステップ的なリバーブ音を重ねて、パンチ力をアップ。Prizmmy☆の歌とダンスもポップでありながら、高揚感やスピード感を兼ね備えており、そのカッコ良さが際立つナンバーです。

『EZ DO DANCE』は非常に人気のある楽曲で、2000年代に入ってからもアイドルグループやダンスグループ、或いはプロ野球のチアリーディングチームや果てはデスメタルバンドまで、様々なアーティストによってカバーされていますが、個人的には、このPrizmmy☆バージョンがイチ推しの出来だと思います。

この主題歌版の他に、キャラクター名義での挿入歌として『プリティーリズム・レインボーライブ』や『KING OF PRISM』でも使用されるなど、『EZ DO DANCE』は、同シリーズを象徴する名曲であり、今もそのメロディとビートは色褪せぬプリズムの煌めきを放ち続けています。