「半年以上の打ち合わせを重ねました。読み切り作品の掲載時期がタイトなスケジュールだったので、とても時間に追われていた記憶があります。締め切りが迫ってくると、加藤さんは編集部に泊まり込んでいましたね。うちの編集部では作家が泊まり込みで作業をすることを禁止しているので、総務の人にずいぶん怒られました。新人の漫画家の加藤先生が編集部でひたすら必死になって作業をしていたので、副編集長も妙に優しくて、出前でウナギをとっていっしょに夕飯を食べたりして(笑)。」

出来上がった読み切り作品は「深山鶯邸事件」として2008年8月発売『ジャンプSQ..』9月号に掲載された。当時の『ジャンプSQ.』の編集部はどんな様子だったのだろうか?

「新しい作品をどんどん始めていかないと雑誌は衰えていく。そういう思想が『ジャンプSQ.』に最初からあって。いまだにその考え方は変わっていません。すぐ隣の『週刊少年ジャンプ』は20人以上とすごく大きい編集部なのですが、『ジャンプSQ.』は8人(2012年現在)と規模が小さい編集部なんです。新人作家さんに限らず、幅広い作家さんをどんどん起用していく、フットワークの軽さがメリットだと思います」

人間と悪魔の血を引く青年、奥村燐。養父の仇を打つため、祓魔師を目指す。
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読み切り作品「深山鶯邸事件」を経て、『青の祓魔師』は『ジャンプSQ.』’09年5月号から連載を開始した。『青の祓魔師』は魔神(サタン)の子でありながら、悪魔を祓う、祓魔師(エクソシスト)を目指す双子の物語。加藤先生の美しいビジュアルと、少年漫画的な熱いドラマが繰り広げられている。

「加藤先生は非常に才能がある方で、キャラクター全員が加藤先生にしか描けないオリジナルなものなんです。主人公の奥村燐くんにも雪男くんにも、加藤さん自身のエッセンスが入っている。」

アニメ化の打診があったのはわずか連載を開始して1年後。単行本の第4巻発売直後のことだった。

燐の双子の弟、雪男。将来の夢は医者。史上最年少で、祓魔師となった天才。
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「早すぎると思いましたね。アニメにしたら、すぐに原作のストックがなくなってしまうんじゃないか、と。でも、アニメのスタッフはすごくやる気でしたし、2010年12月に開催した「ジャンプフェスタ2011」でキャスト陣を発表したときに、会場のお客さんが縦に揺れてくれたんです。縦に揺れる程楽しみにしてくれるって嬉しいなーって。アニメをすると、こうやってファンに受け止めてもらえるんだと。そのときはじめて実感がわきましたね。初めて立ち上げからアニメに携わらせて頂いて、手探りながら、脚本会議に出席して、一生懸命意見をいっていました。原作を守る立場というよりも、とにかくアニメがおもしろくなれば、きっと原作の読者も増えてくれると思っていたんです。」

TVアニメは2011年4月17日から10月2日にかけて、全国ネットで日曜日の午後5時に放送(全25話)。その反響はとてつもなく大きかった。