「反響は想定以上でした。アニメがオンエアされて1ヵ月くらい経って、単行本が売り切れちゃったんですよ。手に入らない!って声が嬉しいやら、どんどん売りたい!って思いで、歯がゆいやら。アニメ化以後に出した新刊も初版は7倍以上も刷ることができました。とてもありがたい反響でした」

文字通りの大ブレイク。TVシリーズの最終回には劇場版アニメ化も発表され、『青の祓魔師』は押しも押されもせぬ人気作品となった。その結果は、作り手である加藤先生と林さんに大きな転機を与えることになる。

「既刊の単行本が100万部を達成したときに、加藤先生に言われてハッとした言葉があるんです。『この作品はまだ100万部売れる作品とは、私は思わない。アニメのおかげで売れているのであって、もっとおもしろくしないといけない』と加藤先生はおっしゃっていて。大成功していても、作品のことをしっかり冷静に考えていて、もっと面白く、もっと良い漫画にしようとしている姿勢を見て、カッコイイ、プロだ、と改めて思いました。」

 現在はマンガの制作体制も進化。定期的にストーリー会議を行い、作品全体のストーリーを深く練り込むことになった。

「もっともっとストーリーを練り込もうと。去年から、プロット合宿をやろうと。一泊で最初に熱海へいきましたね。いまでは3ヵ月に一度ぐらい会議室を借りて、朝から晩までみっちりとプロットの打ち合わせをしています」

いよいよ年末には劇場版アニメが公開される。TVシリーズのその後を描く、オリジナルストーリー。新キャラクターも登場し、『青の祓魔師』はより大きく広がっていくことになりそうだ。

「映像が段違いに美しくなっています。炎の表現に新しいアプローチがされていて、より加藤先生の絵に近づいているんじゃないかと。アニメはすごく長い時間をかけて準備をするので、美術設定や資料を丁寧に描いてくれて、たくさんつくり込んでくださる。そういう部分はマンガとは違うな、お金かかっているな、と思いますね。アニメの美術設定は、加藤先生が漫画を描くときに参考にされているようです」

アニメ化、劇場版アニメ化を経て、原作である漫画版も進化していく。漫画『青の祓魔師』もさらなる展開が待っていそうだ。ヒットしたことで、変わったことはあったのだろうか?

「打ち切り(雑誌側の都合による連載終了)が当面はなくなったので、中途半端に物語が終わることがなくなったことが、一番うれしいことです。
 漫画って長く続けば続けるほど読者が脱落していくものじゃないですか。でも『青の祓魔師』はこれからが面白いんですよ。ここで読まなくなったらもったいない。ぜひ、ぜひ今後を楽しんでほしいですね。あまり持ち上げすぎると、加藤先生に怒られそうですけど……」

物語の結末は少しずつ見えているという。だが、奥村燐、奥村雪男、杜山しえみ、神木出雲たちはまだまだ活躍しそう。このあとの展開がより楽しみな作品なのである。

少年の姿をした悪魔と出会った燐は…!?
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 『青の祓魔師』劇場版は2012年12月28日(金)より全国ロードショー
 公式サイト : https://www.ao-ex.com/