時代を映し出す鏡にもなっているのが、映画。社会性や流行りを反映した作品も2020年は数多く公開される。
今年はBLコミックの実写化も相次ぐ“男同士の恋愛を描いた5本”、ドキュメンタリーから劇映画まで“真実を切り取った5本”、チャレンジに満ちた“新たな挑戦がつまった5本”、もはや日本映画そのものの“アニメーション界注目の5本”、原作にも監督にも注目の“本と鬼才のコラボレーションとなる6本”の計26作品をセレクト!
男同士の恋愛を描いた5本
『his』1月24日(金)公開
同性カップルが世間の偏見にさらされながらも周囲の理解を得て家族になろうと奮闘する姿を描く。
『愛がなんだ』『mellow』の今泉力哉が監督を務め、ドラマ『偽装不倫』の宮沢氷魚がゲイだと思われるのが嫌でひっそりと生活している迅、今泉作品『アイネクライネナハトムジーク』にも出演している藤原季節が別れた恋人の娘を連れて迅のもとを訪れる空に扮する。
現代の恋愛劇の名手が、男性同士の恋愛をどう描き出しているのか期待だ。
『性の劇薬』2月14日(金)公開
人生につまずいたエリート会社員の桂木(渡邊将)は、飛び降り自殺しようとしたところを余田(北代高士)という男に助けられ、どうせ捨てる命なら自分に寄越せと迫られる……。
水田ゆきのBLコミックを、『劇場版 屍囚獄』の城定秀夫が映画化。監禁・SM・調教を通して再生していく男の姿、そして男同士が求め合う姿が描かれる。R18+指定で、ともに『ミュージカル テニスの王子様』で注目を集めた渡邊と北代が過激なシーンに挑んでいる。
『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』2月15日(金)公開
累計発行部数140万部を超えるヨネダコウの人気作をアニメ映画化。
被虐趣味で好色な一面を持つ真誠会若頭の矢代と、傷害事件を起こして服役していた元警察官で矢代の付き人兼用心棒となる百目鬼の危うい関係を描く。
『BANANA FISH』で演出を務めた牧田佳織が監督し、矢代の声を新垣樽助、百目鬼の声を羽多野渉が演じる。
フジテレビによるBLに特化したアニメレーベル“BLUE LYNX”が送り出すBLコミック原作の劇場アニメ第1作。
『窮鼠はチーズの夢を見る』上半期公開
サラリーマンの大伴恭一は、7年ぶりに再会した大学の後輩・今ヶ瀬渉から突如想いを告げられる。これまで受け身の恋愛ばかりしていた大伴は、今ヶ瀬の無茶なアピールに乗せられ、やがて恋の痛みに翻弄されていく。
水城せとなの同名コミックとその完結編『爼上の鯉は二度跳ねる』を、関ジャニ∞・大倉忠義と成田凌で映画化。
行定勲がメガホンを執り、揺れ動きながらも一途に高まっていくふたりの男性の恋愛を、繊細かつ官能的な描き出す。
『海辺のエトランゼ L' ETARNGER DU PLAGE』夏公開
BLに特化したアニメレーベル“BLUE LYNX”が放つ、紀伊カンナのコミックの映画化作品。
原作者自らが監修とキャラクターデザインを務め、監督・脚本・コンテを大橋明代、アニメーション制作を老舗のスタジオ雲雀が手掛ける。
舞台は沖縄の離島。小説家の卵の橋本駿と海辺に佇んでいた少年・知花実央の初々しくももどかしい恋を描く。
ドラマにも自然を背景とした美術表現にもこだわり、幅広い層から支持を受ける1作となりそうだ。