3.むく・まく
みかんや玉ねぎなどの皮を「むく」という動作も子どもは大好きです。
「むく」ときに親指と人差し指をぴったり合わせますが、この動作ができるのは動物の中では人間だけだそう。子どもというのは、赤ちゃん時代は部屋の片隅の小さいホコリをつまんだり、幼児期は道端で石ころやドングリなど小さなものを拾ったりするのも好きですが、そういったことを通してこの動作を学んでいっているんですね。
そして春巻きの皮を「まく」などの動作になると、さらに高度になります。小さいうちはうまく形が整えられなくてぐちゃっとしたものが完成することもよくあります。
ですが、子どもは「完成品」より「動作をしているプロセスそのもの」を楽しんでいるそう。「教室では、巻き終えた寿司を、『もう1回!』と言って海苔をはがしてまでまこうとする2歳さんもいた」と石井さん。何度もチャレンジしたがるくらい、魅力的な動作なんですね。
4.切る
子どもに料理をさせるときに一番ハードルが高い動作がこの「切る」ですよね。
子どもの包丁を持つ手なんて、危なっかしくて見ていられない……と思う親は多いはず。
石井さんも、「包丁を持たせるのは、早ければ早いほどいいわけではなく、始める前に見ておくべき重要なポイントがあります」と以下のことを挙げています。
まずは、包丁を扱える身体能力があるか。日常生活の中で自然に身につくものですが、手や手首、腕や体を使う体験のすベてが包丁作業の基礎になっているそう。成長の過程は人によって違いますし、何歳から包丁が使える、というのは決まりがないので、親がよく見極める必要がありますね。
そしてもうひとつは、危険を認識する理解力があるか。石井さんは、子どもが2歳のときに包丁をプレゼントして使わせてみたところ、刃のほうを上に向けて切ろうとしたため断念し、しばらく包丁を封印したそうです。
「どこが危険で、どこが安全か」を見分ける理解力があるかどうか、は包丁を持つ上で重要なポイントですね。
そしてその条件をクリアし、いざ包丁で切ってみよう!という段階になったら、用意するべき包丁は「小ぶり(刃渡り10~12cm)で、よく切れるもの」がいいそう。
「刃は絶対に指で触らない」ことを約束し、持つところを教え、左手で食材を押さえて切るところを実際にやって見せて、それから子どもにやらせます。
そして、切り始めたら声をかけないというのもポイント。声をかけられてそちらに気を取られると、ケガをしてしまうかもしれないからです。
「切る」動作は、最初はきゅうりで試してみるのがオススメだそうですよ。
きゅうりを転がらないように縦半分に切っておき、まな板に置いて子どもに半月型に切らせて塩を振り、ピックをさしたら(この動作も子どもは大好きです)1品の完成です。
まずは「洗い物」からでも
なかなか一緒に料理する余裕も時間もない……という人に石井さんがオススメしているのが、「洗い物」。
子どもは水で遊ぶのが大好きですが、実は洗い物もさせてみると喜んでやるのだとか。
また、子どもというのは、テーブルをふく、できた料理をトレイに載せて運ぶ、箸を並べる、洗った食器を片付ける、などあらゆる台所しごとが好きなのだそう。
実際はトレイを運ぶ途中で落としたり、洗い物をしながら水を撒き散らしたりと、かえって後片付けが大変になってしまうパターンもあるかもしれません。
でも、子どもが「やりたい!」と目を輝かせていたら、料理は無理でもこういった簡単な台所しごとのうち、できそうなものから手伝わせてみるのもアリかもしれません。
*
いかがでしたか?
台所には、子どもがワクワクする作業がたくさんあるんですね。
ふだんは忙しくてなかなか手伝わせることができなくても、たとえば雨の日の休日、やることがないときにちょっと一緒に料理をしてみる、なんていうのもいいかもしれません。
本書では、2歳からできる料理レシピや、子どもと一緒に料理をする際のコツが多数紹介されています。
子どもの「やってみたい!」という気持ちを大事に、できることから一緒に台所しごとを楽しみたいですね。