「口より先に手が出る子」ママたちはどう接した?
「息子は小さい頃から言葉を覚えるのが苦手でなかなか会話がスムーズにいかず、そのせいか気に入らないことがあるとすぐに私やお友達を叩くようになりました。
相手が泣き出してやっと手を止めるような状態で、これではいけないと手を掴んで『どうしたの?』と聞き続けるとやっと『○○したかった』と言ってくれるので、それの繰り返しでしたね。
保育園でも先生が同じように対応してくださり、息子は手を上げると周囲から止められること、やりたいことを言えば聞いてもらえることを理解したようです。
時間はかかるし私もストレスが大きかったですが、見放さなかったことが息子の安心感につながったのかなと思います」(37歳/自営業)
「我が家は男の子と女の子のきょうだいで、おやつの取り合いなどで息子がすぐ娘に手を出すことが多く、そのたびに娘が泣き出して息子を叱っていました。
『あなたはすぐに叩くけど、自分がされたらどう思う?嫌じゃない?』と聞くと『うん』と言うので、『じゃあ妹にもしないでね』と返すのですが、やっぱり繰り返すんですよね。
それで、『手を出す前にどうしたいのかをちゃんと言って』と息子の気持ちを尋ねるようにしました。
今までは叩くことをただ怒るだけだったけど、気持ちを聞くようにしてからは私に『妹が僕の分まで食べようとする』と不満を言ってきて、ケンカになる前に話し合えています。
親が聞いてくれるとわかるのが大事かもしれません」(34歳/看護師)
上記の言葉は、口より先に手が出る我が子にどう接したかを聞いたものですが、子どもの言動が変わったのは「聞いてもらえる」ことを知ったからと感じます。
手を上げることしか感情のやり場がわからなかったけど、親や周囲が自分の気持ちに耳を傾けてくれる場面を体験して、言葉にする勇気を持てるのですね。
「見放さない」ことも重要で、何度も止めてくれる、向き合ってくれる人がいることが、子どもにとっては大きな安心感と自信になります。
自分の何が間違っているかを知り、その解決まで導いてもらえる経験が、正しくコミュニケーションを取ることの学びといえます。
子どものお友達に「口より先に手が出る子」がいる場合
我が子は会話したくても、お友達のほうが手を出してくるときもありますよね。
そうなると、子どものほうは「◯◯ちゃんはすぐに叩くから嫌い」と遠ざけようとします。
こんな話を打ち明けてくれたときは、「叩かれたら嫌だよね」とまず子どもの気持ちに寄り添い、そのうえで「しないでねってはっきり言ってもいいんだよ」と伝えることが大切です。
我慢しないこと、手を上げるのは間違っていることを子ども自身が理解し、「やめて」とアピールするのは、お友達の手を止めるだけでなく自分がやらないことにもつながります。
こんなお友達にどう対応したのか、ママの声をご紹介します。
「息子の友達で、普段は仲がいいけれど何かあるとすぐに叩いてくる男の子がいました。
息子はそれでも好きで一緒に遊ぶのですが、手を上げられたときは家で泣きながら報告するので、それが私も悲しくて。
『痛いからやめてって、ちゃんと言おうね』『それでも叩くときは“もう遊ばない”ってはっきり言ってもいいからね』と、逃げるだけじゃなくて嫌がっていると伝えることを何度も言いましたね。
親の目が届かないところのことだし不安でしたが、ある日『やめてくれた』と息子が笑顔で報告してくれました。
『叩くなら遊ばない』が効いたようで、やっぱり言葉にするのがいいんだなと思います」(40歳/公務員)
黙って叩かれてしまうとお友達のほうも何が悪いのか理解できないままですが、「やめてほしい」とはっきり言うことで拒絶になり、それがお友達にとっては“心の痛み”になります。
一番やってはいけないのは叩き返してケンカになることで、仲の断絶を防ぐためにも言葉できちんと伝え、相手にわかってもらうことが重要だと感じます。
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口より先に手が出てしまう子どもは、いわば言いたいことを我慢している状態です。
気持ちのやり場がないから手が出てしまうのであり、親や周囲が見つめるべきなのは「その子が本当はどうありたいか」だと思います。
そのためには気持ちを言葉にする習慣を持ってもらうことが最善で、こちらはしっかりと耳を傾ける姿勢が欠かせません。
手を出すこと以外で感情を発散する、会話で気持ちを伝え合うコミュニケーションを知れば、それが子ども同士の信頼にもつながります。