ママたちのネットワークのホームグラウンドになる冒険遊び場
対象年齢別にみると、乳幼児向けの冒険遊び場の広がりは、もっとも大きいと久米さんは言われます。
今の時代は、ママ世代もすでに外遊びをあまりしなかった世代にさしかかってきています。
最初は汚れることを想定せず、子どもに白い服を着せて遊び場に来たママがいたそうです。それが次回は黒い服、3回目からは着替えを持ってくるようになっていったそう。服が汚れることなんて、子どもがのびのびと遊べるためならなんてことはない、と思える場所、それが冒険遊び場なのかもしれません。
冒険遊び場を基盤とする自主保育のサークルの活動も盛んで、ある都心部の冒険遊び場では、ママたちが大型バスを借りて、千葉県まで稲刈りツアーを企画、敢行したのだとか。
「冒険遊び場でおもしろいのは、どの子がどの親の子か、わからなくなるんですよ。家に帰るために自転車に乗る段になってはじめて、親子関係がわかることもあります」
よその子も自分の子もみんなで一緒に育てているような感覚が、もう一人きょうだいをつくってみようかな、と思えるきっかけになるのかもしれないですね。
冒険遊び場は自分たちでつくれる!
自分の住んでいる地域に冒険遊び場がなかったら? と思った方、冒険遊び場はつくることができるんです!
協会のホームページには、実際に冒険遊び場のつくり方が載っています。
冒険遊び場は基本的に行政が運営するものではなく、住民が行政の協力のもとに運営されることが望ましいと、協会は提唱しています。
一から冒険遊び場をつくるなんて、ちょっとハードルが高い気がしてしまいますが、
「実際に冒険遊び場の数が増えていることをみると、住民の意識の高まりを感じます。先月も江東区豊洲に新しく冒険遊び場がオープンしたのですが、中心になっているのは豊洲の高層マンションに住んでいるママたちなのです」
とのことでした。
子育て世代の人口増加が著しい江東区。行政が動くのを待っていたららちがあかない、とママたちが立ち上がった好例ですね。
地域住民による運営が広がっているのは、世界的に見た日本の冒険遊び場づくりの特徴だそうです。
まとめ
「遊びは生きることを学ぶ術」とは、日本の冒険遊び場創始者の大村璋子さんの言葉です。外遊びで得られるものは、体力だけでなく、はかり知れない創造性や他人と交流する力なのですね。それを楽しみながら身につけることができる冒険遊び場は、子どもだけでなく、大人にも必要な場所なのかもしれない、と思いました。
自分の住んでいる地域の近くに冒険遊び場があったら、まずは出かけてみませんか。
ホームページの全国遊び場情報のページはリニューアル直後のため、すべての情報が掲載されていない可能性があるそうです。気になった方は、ぜひ、直接事務局へ問い合わせてみてくださいね。
■取材協力:久米 隼
特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会理事。
神奈川県横浜市生まれ。埼玉県在住。大学院博士課程前期課程修了。冒険遊び場を大学の実習をとおして知り、地域コミュニティを地域住民が主体となってつくっていく活動に魅了される。日本冒険遊び場づくり協会では事務局総務担当を経て事務局長を拝命。
16年より理事 兼 事務局長。