働くママにとっては、妊娠・出産はうれしいことであると同時に、マタハラ(マタニティーハラスメント)被害者になるきっかけにもなりえます。
自分だけ我慢をすれば、などと考えず、しっかりと対策を練っておきたいもの。マタハラNetにお話を伺いました。
働くママなら誰にでもひそむマタハラの影!
マタハラが「通常の働き方ができなくなった人へのハラスメント」という特徴を持つ以上、どんなに仕事ができても、どんなに明るい性格であっても、働くママであれば、マタハラを受ける可能性はゼロではありません。
任意団体としては2014年から、マタハラ被害者に寄り添い、問題解決のサポートを行ってきたマタハラNetの代表・宮下浩子さんと、マタハラ防止コンサルタント・宮田祐子さんお二人に、お話をうかがいました。
マタハラの今
2014年頃からマタニティーハラスメントという言葉が知られ始め、今では言葉自体の認知度はかなり高まりました。
それまでモヤモヤと存在していたマタハラに名前がついたおかげで、少しずつ、被害にあった女性が声をあげられるようになってきました。
また、今年の1月には男女雇用機会均等法および育児・介護休業法の改正により、マタハラに関する法律が改正されました。
社内にハラスメント対策部署を置く会社も増えています。
これで状況が改善されるといいのですが、マタハラNetの代表理事・宮下浩子さんは言います。
「まだまだ被害に遭っている女性はいます。中小企業だけでなく、ダイバーシティーに取り組んでいる大企業でさえも、末端の部署にはまだマタハラが違法だということが浸透していないんです」
あからさまな嫌がらせや言動、減給や異動といったことならわかりやすいですが、その他にも、さまざまな形でのマタハラはあり得ます。
たとえば、育休からの復帰で減給や降格などもマタハラに当たります。育休からの復帰は『原職』又は『原職相当職』への復帰が原則だからです。
マタハラ被害にあった時に持っていたいもの
1.マタハラ被害者である自覚
妊娠中や赤ちゃんを育てるという人生の中でも緊張感の高い時期に、ハラスメントを受けることは、相当なストレスです。
なのに、多くのママがすぐには自分が受けているのがマタハラとは思わず、時には「私が悪いのかな」と自分を責めてしまっています。
退職後に、マタハラNetにやりきれない想いをメールでぶつけてくる人も少なくないそうです。
退職してからでは遅いのですから、まず、マタハラ疑惑が生まれたら、これがマタハラかどうかしっかりと見極めることが必要でしょう。
「正しい知識を得ることが大事」だと宮下さん。
今は、ネットでいくらでも情報は出てきますし、参考になる書籍も出ています。
そして、最終的に信じるべきは、自分の感覚です。
2.冷静さ
マタハラ被害にあって、この世の終わりとばかり相手や自分を責めたりすることは、一時的にしてしまったとしても、解決には何の役にも立ちません。
いったん気持ちが落ち着いたら、まず、自分はどうしたいかを冷静に考えましょう。紙に書きだしてみるのもいいですね。
その上で、相談機関に行けば、かなり気持ちの整理がつくはず。
また、実際に交渉を始めることになったり、場合によっては訴訟に備えるために、会社側との会話は録音しておくようにしましょう。ICレコーダーは慎重に選びたいですね。
マタハラ防止セミナーの講師を務める宮田さんによると、ハラスメントを受けたら、必ず日付とメモを残すことが大事なのだそうです。