3.相談先
マタハラを受けている、という自覚が芽生えても、すぐにはどこに相談したらいいか、わからないかもしれません。
一般的に知られている労働に関する相談先は、労働局の雇用環境・均等部(旧雇用均等室)でしょう。
ほかにも、労働相談や女性のための窓口は多々ありますが、前知識がないと、相談先を探すだけで、負担を感じてしまいますよね。
また、相談したとしても、こちらの望むような対応をしてもらえない可能性もあります。一か所で心の折れるような対応をされても、あきらめずに相性のいい相談先を探してみてくださいね。
4.ビジョン
被害者である自分がビジョンを持つことで、相談される方も、具体的なサポートを提案しやすくなります。
自分は同じ職場で元通り働き続けたい、と思うか、円満に退職して別の生き方を選択したい、と思うかによって、取るべきアクションは変わってきますよね。
今後、自分はどうしたいか、まず、自分に聞いてみましょう。
もし仕事を続けたいのであれば、職場との交渉はなるべく第三者を通さずにすることが望ましいでしょう。「会社側も第三者が入ることで構えてしまいます」と宮下さん。
マタハラNetでは、社労士や弁護士とつなぐサポートの他に、会社と交渉する際のアドバイスも行っています。
もし退職を考えている場合は、自分に損にならない方法で退職するためにはどうしたらいいか考えます。場合によっては、専門家に頼る方がいいこともあるでしょう。
いずれにせよ、自分の人生です。
つねに自分はどうしたいかを大事にすることで、マタハラ被害にあったとしても、自分を失わないでいられるでしょう。
5.コミュニケーション
もともと一緒に働いてきた同僚や上司とは、ある程度は信頼関係が築けている人も多いですよね。
彼らの理解と協力によって、マタハラ被害から脱した人もいます。
マタハラを受けると、会社の人はすべて敵、となりがちですが、それは精神衛生上にも、問題解決のためにも、いいことはありません。
相手次第、コミュニケーション次第では、わかり合えるかもしれません。
時には相手の方の先回りした配慮が自分にとって不快に感じることもあります。
そういった場合にもつねに周りの方とのコミュニケーションは大事にしておきましょう。
6.心のケアの方法
実はこれがいちばん必要なことです。
たとえ訴訟で勝利して、自分の思う通りの結果になったとしても、マタハラされた記憶は残ります。
フラッシュバックという形で、何年も後になって襲ってくることも。
友人や家族以外に、気持ちに寄り添ってくれる仲間を持つことが、傷の癒しにつながります。
マタハラNetでは、定期的にカジュアルな体験者の集いを開催しているそうです。
体験者でないとわかりえない悔しさや悲しさを共有することで、自分はひとりじゃないと思える人は多くいます 。
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代表の宮下さん自身がマタハラ被害にあったのはもう十数年前だそうですが、マタハラNetを始めた頃は、相談にくるママの話を聞きながら、自分の体験と重ねてよく涙していたそう。
「そうすることで、私も癒されていたのかもしれません」と宮下さんは語っていました。
マタハラNetは、運営陣のほとんどが元被害者女性であるから、公の相談機関に比べて、格段に敷居が低いという印象を受けました。
マタハラは働き方の違いに対するハラスメントです。人権問題、経済問題にもつながります。
会社との交渉時にはその点を強調できれば、双方にとってウィンウィンな提案ができるかもしれません。誰もが普通に働き続けることができるようにしておくのが、会社にとってもイメージアップにつながるからです。
負けないでくださいね!
【取材協力】
マタハラNet
日本における初のマタハラ被害者救済組織。安心して妊娠、出産、子育てしながら働き続けられる社会の実現を理念とする。
任意団体として設立した2014年より、マタハラに苦しむ女性達の救済を主な目的として活動をスタートした。SNSやブログによるマタハラ対策に関 する情報発信をすると同時に、被害者相談も開始。