今の「中学受験」では、親の経験や知識はほとんど役に立たないと言われています。
それは社会が求める能力の変化に伴い、中学受験で要求される学力の質が変わってきたためです。
そもそも難関校では20年ほど前から、知識量を問うのではなく、思考力を問う問題を出し続けています。
40年以上私立中学の受験指導をし、有名難関中学に2500人以上を合格させた実績を持つ、西村則康さんは、中学受験を通して、人生の荒波を楽しんで乗り越えていくために、3つの力「思考力・判断力・表現力」を身に付けることを重要視しています。
今回は、西村さんの著書『わが子が勉強するようになる方法 2500人以上の子どもを超有名中学に合格させた「伝説の家庭教師」が教える超実践的な38のルール』を参考に、子どもの成績を伸ばす方法をご紹介します。
暗記ではない「本質」への理解が求められている
近年、塾内のテストで偏差値の高い子どもが受験に失敗するケースが増え始めているといいます。
その理由の1つは、中学校側の受験問題の変化にあります。
「基礎問題が解けても自然に応用問題が解けるわけではありません。“どうしてこうなるのか”という理由がわかり、もしこうなったらどうなるのかを想像できる力が必要です。繰り返しの暗記学習だけではこのどちらも身に付けることができません」出典(わが子が勉強するようになる方法 2500人以上の子どもを超有名中学に合格させた「伝説の家庭教師」が教える超実践的な38のルール)
物事の本質や意味を理解したうえで知識を習得すると、過去に覚えた知識に新しい知識をつなぎ合わせながら記憶し、記憶の深度がまるで違うものになってくるのです。
算数は「数」や「量」を実感してつかむ
その本質的な頭の良さを高めるためには、知識が脳にどのぐらい定着しているかということが大切になってきます。
「九九は、7×8が言えなくても7×7が分かっていれば7×7=49だから、それに7を足せばいいんだと考えられるかどうかです。また量の感覚を掴ませるには実際に生活の周りにあるものを利用して、10リットルと言われたときにぱっとイメージできない子には、“いつもの牛乳のあのパック一本が1リットルよ”と教えます」出典(わが子が勉強するようになる方法 2500人以上の子どもを超有名中学に合格させた「伝説の家庭教師」が教える超実践的な38のルール)
同じように、100メートル、100キロメートルとなると実感してわからない子には、「家から学校までは100メートル、家からスーパーまでは約1キロメートルなの」というふうに、身近なことで、おおまかな量や大きさを想像できるようにしておくことが大切。
大人が当たり前に知っていることでも、子どもは理解していないことが多くあります。実感や経験を通して学ぶと、それが思考力や想像力を高めることにつながっていくのです。