自然と亮と更紗になっていけたような気がします

『流浪の月』 ©2022「流浪の月」製作委員会

横浜はオファーを受けて改めて原作を読み返し「亮目線で読むとまた違う見方ができた」と振り返る。

「文目線で読んでいた時は『この男、なんなんだよ』と思っていましたが、亮目線で読むと亮にも悲しい過去があり、だからこそ更紗を精一杯に愛して守り抜きたいと思っている、共感できる人間らしい部分がありました」と、単純に善悪では断罪できない生身の人間臭さを備えた横浜自身の亮というキャラクターを受け止め、最後には「僕自身が誰よりも亮を愛した」と語る。

『流浪の月』 ©2022「流浪の月」製作委員会

ところが、自身を“人見知り”だという広瀬と“甘えることが苦手”だという横浜の初共演、しかも結婚を目前にした恋人どうしという設定には、準備段階から高いハードルがあったという。

クランクイン前のリハーサルで、いつまでも打ち解けないふたりを見て、「李監督から『形は出来ているけど中身が見えない。まずは広瀬すずと横浜流星としてふたりの距離感を縮めた方がいいんじゃないか』という指摘があり、ふたりきりで話し合う時間を持ちました。クランクイン直前にロケ地の松本でふたりで街巡りをして、蕎麦を食べたりゲームセンターに行ったりと、普通の人どうしが過ごすような日常を体験し、自然と亮と更紗になっていけたような気がします」と役作りの裏側を披露。

さらに前半から後半にかけて感情も風貌も驚くほどに変化していく亮の撮影が、可能な限り劇中の時系列通りに撮影を進めていく“順撮り”(予算やスケジュールの都合でなかなか成立が難しいとされる)で行われたとも明かし、「順撮りで撮影したことで役の感情が作りやすく、贅沢な現場だと思いました。監督は役者を第一に考えてくれる人だと感じました。すごく幸せな環境の中でお芝居ができて感謝しています」と李組での撮影を振り返った。

映画『流浪の月』は5月13日(金)より公開。