板垣瑞生(18歳)の初主演作
これといった希望もなく毎日を過ごす予備校生の相葉孝司(板垣瑞生)は、ある日、自分以外の世界のすべての時間が止まるという不思議な現象を経験する。
混乱の中、街をさまよっていると、そこで自分以外にもう1人動ける人物、高校生の篠宮時音(吉柳咲良)と出会う。
理由はわからないが、それから毎日、同じ時間に2人以外のものの時間が止まるという現象にあうようになった2人は、その時間を“ロスタイム”と呼び、2人だけの時間を楽しむようになるのだが……。
今年、待機作も含むと5本の出演作が公開となる板垣瑞生の初主演作、映画『初恋ロスタイム』。
これまではどちらかと言うとシリアスなキャラクターを演じることが多かった板垣が、初挑戦となった恋愛映画で青春を謳歌する姿など、今まであまり見せることのなかった爽やかでキラキラした表情を見せている。
役者としての仕事も増え続ける中、ボーカルダンスユニット、M!LKのメンバーとしても活動し、さまざな姿で観客やファンを魅了し続ける板垣。
今作のことはもちろん、役者としての思いなど、今、18歳の彼が感じるものに迫った。
キラキラした作品に対して苦手意識があった
――今回の役は今まで板垣さんが演じてこられたものとはまた違ったイメージのあるキャラクターでしたが、いかがでしたか?
これまでどちらかと言うと暗い役が多かったので、明るい役もできる人になりたい、っていうのはありました。
お話が進むに連れて事態が好転していって、最後にはハッピーエンドになるようなものとかをやってみたいな、って。
なので、今回オーディションだったんですが、そういうものに挑戦できるいい機会だなと思っていました。
自分の苦手分野を克服したい、みたいな気持ちはありましたね。
――明るいものに苦手意識があったんですか?
ありました。キラキラした作品に対して苦手意識があったのは事実です(笑)。
ただ今回やってみて思ったのが、自分らしいキラキラができたのかな、って思います。
大げさにキラキラさせるような感じではなく、自然とキラキラした感じが出るような。
――そうですね。いわゆる壁ドンとかをやるような感じではなくて、リアルなキラキラというか。そこは板垣さんっぽいな、とも感じました。
今回みたいに人に元気を与えられるようなもので、かつ若い人も大人も観られるような広い視野もある、フレッシュな作品に挑戦したいと思っていたので、そういう素敵な作品に出会えて良かったです。
――ちなみに、今おっしゃったような内容の作品に壁ドンがあったらやるんですか?
やらせていただくかもしれないです(笑)。うまく出来るか心配ですが(笑)。
こっちのパターンもいいよねって、思ってもらえるような仕事をしたい
――楽しみにしています。板垣さんは以前から、わりと人間らしいというか、リアルな感情がある作品に惹かれるというお話をしていて。
出演される作品もそういうものが多いという印象なのですが、それって『ソロモンの偽証』(15年公開)の影響があったりもするんですか?
さっきもちょうど取材前に『ソロモンの偽証』を観てたんですよ。やっぱり自分の出身はこの映画だと思っていますし、もう俳優としての生みの親みたいな存在です。
だからわりと重いテイストの、シリアスな作品の方が合っているのかな?って、自分では思っていたんですけど、今回、こういう明るいテイストの作品をやらせていただいたらすごく楽しかったんです。
別にそういうことで自分をくくる必要もないのかな?ってちょっと思うようにもなりました。
ただどっちをやるにしても、人間っぽさはあるというか、僕が演じさせていただくわけだから人間であることには間違いないし。
例えば漫画の実写化で、漫画の通りにやるだけだったら役者さんなんていらないじゃないですか。アニメを観た方がいいってなる。
もちろん作品に対して忠実にやることは大切だとは思いますけど、こっちのパターンもいいよねって、思ってもらえるようなお仕事をしたいと思ってます。
人っぽさがないと、観る人が共感できないと思うし、僕がお芝居をするなら、“好き”っていう感情なら、心の底から“好き”って思いながら言いたいです。
楽しみながらみんなで一つのものが作れたらいい
――今作ではさらに初の主演という立場でもありましたが、その辺はどう感じていましたか?
やっぱり責任は感じましたし、プレッシャーもありました。
だからこそ、どういう現場づくりをして、どういう作品にしたいのか、っていうのは明確にしたいとは思ってました。
これまでいろんな先輩方の主演としての姿も見て学ばせていただいて、自分だったらどうしようかな、みんなで楽しみながら作るかな、っていうのは考えました。
――それが以前おっしゃっていた、楽しみながらみんなで一つのものが作れたら、っていうことですか?
そうですね。作る側がみんなで楽しんで、それを観る人も楽しめたらいいな、って。
みんなでキュンキュンしながら作ったら、観る人にもキュンキュンが伝わるのかなと思うので。それも初めての経験でしたね。
――上手くいきましたか?
上手くやれたかどうかは観てもらわないとわからないところですけど、ただスタッフさん達がいい現場だねって言ってくれたし、みんなで一つの作品を作れたとは思うので、上手くやれたような気はします(笑)。
――ただ“みんなで”というのはありつつも、相手役の吉柳さんは年下でしたし、自分が前に立たなければ、みたいな意識は多少ありましたか?
そうですね。ありがたいことに今回、そういうことを考える機会もいただきました。
年上としてお芝居をしなきゃいけないっていうので、やっぱり半端なことはできないですし。
今までだったら多少、周りの年上の方に頼れたりする部分もあったんですけど、それが今回なかったので、そこもすごく挑戦でした。
――お芝居は相手の方との呼吸も大切になると思うのですが、吉柳さんだからこそできたな、みたいな場面はありましたか?
孝司が時音に引っ張ってもらうようなところというか。「行こうよ!」みたいな場面は、吉柳さんのはつらつとした感じに助けてもらいました。
僕だけじゃあんな風にはできなかったと思います。吉柳さんがうまく引っ張ってくれることで、孝司という役をより明るくしてくれました。
――吉柳さんは撮影時、14歳だったということで、一緒にいて自分が同じくらいの歳だったときを思い出したりしませんでしたか?
最初に吉柳さんの年齢を聞いたときは、「14歳か~、わ~」ってなりました(笑)。ただ吉柳さんはすごくしっかりしている方で、あの頃の自分と比べると……僕は何も考えてなかったような気がしますね。