【事例2】父母ともに認知症の恐れ…預金と不動産が凍結されてしまう!

◆家族構成
父親90代、母親80代、長女50代、長男50代

両親ともに認知症の恐れが…

両親ともに認知症の恐れが出てきたとき、長女が資産凍結の可能性を知りました。両親には預金と不動産の財産があったため、凍結されることの危機感を感じました。そこで、司法書士のもとに問い合わせをし、家族信託ができないか相談しました。

相談を受けた司法書士は、本当に家族信託が最適なのか判断するために、まずは相談者である長女の自宅へ訪問して話を聞きました。

全部で4回の面談を行った中、最初の2回は長女と両親の3人での面談を行い、3回目からは家族も出席。結果、家族信託が最適だとわかり、家族みんなが納得して安心しながら手続きを進めました。

預金と不動産を家族信託

両親ともに、銀行口座にまとまった金額の預金を持っていたため、両親名義の口座に預金されている金銭のうち、一部を長女に家族信託しました。

不動産については、両親が自宅の名義を半分ずつ共有で保有していました。このように不動産を共有している場合、1名でも認知症を発症してしまった場合には、不動産全体を売却することがむずかしくなってしまいます。

そこで父親と長女の家族信託契約と、母親と長女の家族信託契約を2つ作成しました。

不動産を売却したくなった場合には、両親が認知症になっても、長女の判断のみで不動産を売却することができるようにしました。

司法書士の解説

磨「家族信託は、ご家族全員のご納得が必須です。受託者の意思だけでなく、委託者となるご両親や相続人(この場合、長男の方)の全員のご納得がなければ親族争いにつながってしまいます。ご家族に対しても、丁寧な説明ができる専門家を探すことが大事です」

認知症は、決して他人事ではありません。どの家庭にも、今回の2つの事例のような状況が、将来、訪れる可能性があります。

預金が凍結してしまう前に、両親や祖父母などの認知症リスクを早めに感知し、手を打っておくことで、両親や祖父母の大事な財産が凍結されて「家族でもお金が引き出せない」状況になるのを防ぐことができます。

【取材協力】磨 和寛さん

トリニティ・テクノロジー株式会社 代表取締役CEO / 司法書士
「人×テクノロジーの力でずっと安心の世界をつくる」をミッションに、認知症により資産凍結から家族を守る「スマート家族信託」を提供。

【調査出典】
三井住友信託銀行「認知症高齢者の保有する資産推計について」