高齢化が進む中、今や認知症は決してめずらしいことではなくなりました。自分の両親や祖父母などもいつ認知症になるかわかりません。
家族が認知症になったら早期治療や改善に努めたいもの。ですが、生活やコミュニケーションの点で支障が出てきます。
本人の銀行口座などが凍結され、お金を引き出せなくなることがあるのをご存知ですか?
そこで今回は、認知症によりお金を引き出せなくなってしまうリスクの解説とともに、司法書士の方に、家族が認知症になり、銀行口座からお金を引き出せなくなる前に、ギリギリで対策を取った事例をうかがいました。ぜひ参考にしてみてくださいね。
認知症になると口座からお金を引き出せなくなる!?
認知症になると、その認知症になった当人の持つ預金口座が「凍結」される恐れがあります。
凍結とは、当人はもちろんのこと、家族ですら口座にあるお金を引き出せなくなること。
認知症になると、判断能力が著しく衰えることから、もし当人が詐欺などにあい、だまされて口座からお金を引き出し、トラブルに巻き込まれてしまう可能性も。そのため、本人保護の観点から、銀行は口座を凍結するというわけです。
ただ、預金口座に本人の財産が残されたまま凍結されてしまうと、家族が介護費や生活費等に必要なお金を引き出せず、困ってしまうケースも。
凍結の条件は各銀行によって異なるため、確認が必要ですが、認知症になると凍結となるリスクがあることは覚えておきたいものです。
認知症高齢者の資産総額は「約250兆円」にも
実はこの認知症の高齢者の凍結資産が莫大な金額に上っていることが、社会問題となっています。
先日、三井住友信託銀行が独自に推計した、認知症高齢者が保有すると推定される全国の「資産総額」、「金融資産」、「不動産」を発表しました。そのデータによると、日本の認知症高齢者が保有する資産総額は2020年で約250兆円、2040年には約345兆円に増加する推計となっていました。
うち金融資産は約170兆円(2020年)から約237兆円(2040年)に、うち不動産は約80兆円から約108兆円(2040年)に増加することも推計されています。
今後、動かせなくなる資産は膨大に増えていく一方です。早期から認知症を予防することはもちろんのこと、万が一のことに備えて今から予防策や対策を知っておきたいものです。