原因不明の不調は「気象病」の可能性も
「学校に行きたくても行けずに、不登校状態を強いられている子どもはたくさんいるのです。また、病院に行ったものの原因がわからず、精神科に回されてしまい一向に改善しないという悪循環に陥ってしまうケースも多いです。
雨の日や台風が近づいているときに、子どもが頭痛や腹痛など体の不調をうったえて“学校に行きたくない”と言ってきたら、その言動を疑ったり、精神的な問題で片づけるのではなく、まず天気による影響を疑ってみてください」
親が気象病を持っているとすると、その子どももかなりの確率で気象病の症状が出ることがわかっています。
10代で気象病に苛まれている子どもたちは、実は5歳ぐらいの時から頭痛が出ていることが多いそうです。
「幼児や小学校低学年では痛みの症状をはっきりと表現できません。幼稚園や小学校に行きたくないと理由もなく駄々をこねるようなことがありましたら、子どもの不調は天気に影響されていないか注意深く観察してみてください。
特に自分も似たようなタイミングで体調崩すのであれば、気象病の可能性を疑ってみるべきでしょう」
「気象病」かもしれない場合は早めに適切な処置を
天気による不調であれば、対処法や治療法があるので、薬で症状が改善されるケースは少なくないとのこと。
片頭痛に関しても、子どもは社会的なストレスが関係しない分、大人よりもシンプルに治療の効果が出やすいのだそうです。
「天気をコントロールすることはできませんが、体調不良の原因が天気だと分かれば、症状が出る前に予防したり、天気に左右されにくい体を作っていくことが十分に可能です」と佐藤先生。
セルフケアや適切な治療を受けることで、状況を大きく変えることは可能です。
【参考書籍】
1万人を治療した天気痛ドクターが教える 「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本
【著者】
■佐藤 純
天気痛ドクター・医学博士。日本慢性疼痛学会認定専門医。中部大学生命健康科学研究科教授、愛知医科大学客員教授。30年以上にわたり気象と痛み、自律神経との関係を研究。1983年に東海大学医学部を卒業後、名古屋大学大学院で疼痛医学、環境生理学の研究をスタート。1987年、米ノースカロライナ大学に留学し、慢性疼痛と自律神経系の関係について研究を行う。名古屋大学教授を経て、2005年より愛知医科大学病院・痛みセンターで日本初の「天気痛・気象病外来」を開設。天気痛研究・診療の第一人者として「ためしてガッテン」「あさイチ」(NHK)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)などメディア出演も多数。2020年には株式会社ウェザーニューズと共同開発した「天気痛予報」をリリースし、著書も多数。