その女性にとっさについたウソ

彼女とは特に問題もなく交際は続いていて、取引先のその女性とも平日は親しく話す日々が続いていました。

本当はランチくらい一緒に食べたいなと思っていましたが、さすがに仕事関係の人だし自分は彼女がいるし、人目につく付き合いは避けたほうがいいのかなと考えていました。

はっきりとこの女性を意識したのは、いつものように納品に行ったら『半年くらい彼氏がいなくて寂しいけど、あなたみたいないい男はたいてい彼女がいるものね』と言われたときです。

『実は仲が冷めていて、もう別れようかと思っている』と、とっさに嘘をついてしまいました。

女性は驚いて『まだ付き合って3ヶ月くらいでしょう?』と言っていたけど、向こうから告白されて付き合ったことや尽くすタイプで少し窮屈さを感じるなど、普段から思っていたことを打ち明けました。

『付き合ってみないと合うかどうかってわからないものね』と女性は俺の言葉を信じて、やっとLINEのIDを交換し、その夜からやり取りが始まりました。

会社ではしない個人的な話ができて俺もテンションが上がり、その週の土曜日に初めてふたりきりでランチに行くことが決まって。

はっきりと浮気の実感はありましたが、その女性のことをもっと知りたい気持ちが勝り、彼女に罪悪感を覚えながらも土曜日は女性と楽しく過ごしました。

放置された彼女の気持ち

それからは、彼女よりこの女性との時間を優先することが増えて、平日の夜は『残業になった』と彼女との約束を避けて女性と会い、週末は女性とふたりで市外までドライブデートするなど、どんどん距離が縮まっていきました。

彼女は前から俺に不満をぶつけることはなかったので、このときも『わかった』だけでデートをドタキャンする俺を責めるようなことはせず、ほっとしていましたね。

女性には彼女と別れるつもりと言ったけれど、実際はその覚悟は決まっていなくて、毎日『お仕事お疲れさま』とLINEをくれる彼女への申し訳なさは募る一方でした。

彼女が悪いのではなく、別れたいのは単純に俺のわがままなんですよね。

『絶対に傷つける』と思うと切り出す勇気が持てずにいたのですが、ある日彼女から『最近会うこともないしLINEの返事もくれなくなったし、もしかして私のことが嫌いになった? 浮気でもしているの?』とLINEで聞かれてしまいました。

もうごまかせないと思い『ごめん、ほかに好きな人ができた』と正直に返しました。

『やっぱり浮気していたんだね。そうだと思った。最低』と彼女からは返信があり、別れることに……。