自分のことを守れない人は人のことも守れない

撮影/小嶋文子

――お二人にはシイノとマリコのように人生をかけて守りたい存在はありますか。

永野:難しい質問ですね(笑)。でもそうなると私は自分ってなっちゃうかも。自分のことを守れない人は人のことも守れないと思うので、まずは自分のことを大切にしたいと思います。

奈緒:私はずっと家族だと思っていたんですけど、家族を大事にしたいって思った時に、「家族の幸せって何だろう?」って考えたんですね。そしたら、私自身が幸せでいることが大事だということに気づいて。

守りたい人、大事にしたい人はたくさんいるんですけど、私も芽郁ちゃんと同じようにその人たちを大切にするためにも、まずは自分が幸せでないといけないなと感じます。

撮影/小嶋文子

――そのことに気づいたきっかけのようなものはありますか。

永野:人を傷つけるのも人だけど、救うのも結局人だなとは思っていて。ただ誰かに救ってもらいたいと思うことって、人に対して期待したり、求めたりすることだから、その前に自分で自分のモチベーションを上げられるようになったら素敵だなと思ったんですね。傷ついても自分で自分を励ませる人になれたら強いなって。

だから自分の一番の味方は自分でいたいと思うし、常に自分は自分で何かできる人でありたいと思います。それは何かきっかけがあったというよりも、少しずつ歳を重ねていく中で生まれたものです。

まだ若いからこれからいろんな経験をして、きっと考え方も変わっていくんでしょうけど、今の私はまずは一回、自分自身のことを満たすことをしないと、人のことを考える余裕は持てないなと思っています。

奈緒:私は今、母と一緒に暮らしているんですけど、お仕事が増えてきたタイミングで、母の存在が自分の鏡だなと気づいた瞬間があったんです。

母はずっと家に居て、私とは違う時間を過ごしてはいるんですけど、私が疲れて家に帰ると、母もなんか疲れているんです。最初の頃は「なんで元気がないんだろう?」と思っていたんですけど、ある時、私が元気がないから母も元気がないんだってわかったんです。

私が笑っていると、母も笑ってくれるんですね。誰かと一緒にいるからこそ気付かされる瞬間ってあって、そういう日々の小さなことの積み重ねから感じるようになったのだと思います。

©2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会
©2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会

――自分を大切にするためには、ストレスも上手に発散させてあげないといけないと思うのですが、お勧めのストレス発散法はありますか。

永野:お勧めというと難しいですね。人それぞれに好きなことって違うと思うから。例えば音楽が好きだったら、自分の好きな音楽を聴いて癒されると思うし、好きな香りを嗅いで癒されるとかもあるだろうし。自分に合ったストレス発散法を見つけることが一番いいんじゃないかと思います。

――永野さんが実践しているストレス発散法はありますか。

永野:楽器を弾いたり、ジムに行って身体を動かしたり、好きな友達と会って、美味しいご飯を食べて、美味しいお酒を飲んでリフレッシュしたり。あとは逆に1日中家から一歩も出ずに映画を観たりしてだらける時間を作ったり。私は自分がストレスを発散できる方法が自分でわかっているので、取り入れるようにしています。

奈緒:私はもともと銭湯に行くのが好きで、おっきなお風呂に入ることがストレス発散法だったんですけど、コロナ禍でなかなか行けなくなってしまって。それで今はプライベートサウナに行くようになりました。

なかなか家ではできないことではあるんですけど、お風呂に入るって1日の中で基本的に必ずすることじゃないですか。生活の中に取り入れられるストレス発散法があるといいなと思っていて。だから「今日はちょっと疲れたな」という日には行くようにしています。

あとは最近、ハーブティーにもハマっていて、自分に合う疲れを取るものとか、よく眠れるものとかを飲んでいます。この記事を読んでくださっている方々もお忙しい方が多いと思うので、そうやって普段の生活の中に取り入れられるような解消法はいいんじゃないかと思います。