芸人さんを立ち上がらせるくらい、ひと笑い起こしたい!

撮影/友野雄

亜子は、俊英がひそかに想いを寄せていた相手にそっくりの女性。「完全にトシくんの一目ぼれですよね(笑)」と認めた上で、俊英の内面をこう分析する。

「まずは顔から入って、一緒に生活をしてく中で、自分にはない視点に惹かれていったんだと思います。何もない壁に絵を飾ろうとか、部屋にタンポポを運んできたりとか。そういうひとつひとつの出来事の中で、今のこの表情は良かったとか、より好きになれる部分を見つけていったんじゃないかな」

俊英は決して紳士的な人間ではない。口は悪いし、態度だってぶっきらぼうだ。でも、何気ない瞬間に亜子への優しさがこぼれている。

「本人が思っている以上に、トシくんの亜子に対する想いが熱いな厚いなという印象があって。じゃなかったら、あそこまで世話を焼かないと思うんですよ。他の人から見たら、そこまでしなくていいだろうというラインを、トシくんはひょいっと乗り越えている。それは、亜子への想いがあってのことだと思います」

他人に対してそっけない、低温動物のような俊英だが、亜子の前では声を荒げたりムキになったり、いろんな感情を見せる。その遠慮のないやりとりにも、この2人にしかない特別なものが感じられた。

「それはたぶん亜子ちゃんがどんな状況でも周りに対して感情を出せる子だったからなのかなと。亜子ちゃんに引っ張られるかたちで、トシくんもいろんな人に感情を見せられるようになった。亜子ちゃんははたから見るとかなりハチャメチャだけど、その危なっかしさも含めて、トシくんはいいなと思っていたんでしょうね」

撮影/友野雄

最初こそ亜子の外見と中身のギャップに戸惑っていた俊英だが、いつしか気性の激しさも不安定さもすべてがチャームポイントになっていたというわけだ。では、高杉真宙自身は、理想と現実のギャップに戸惑った経験はあるだろうか。

「僕、喋るのが上手いとは思ってないんですね。本当に心の底からそう思ってるんですけど、あるとき、バラエティでの自分の喋りを聞いて、こんなにも早口なんだってビックリしました(笑)。たぶん心のどこかではもう少しちゃんと喋れてると思ってたんでしょうね。全然そんなことなかった(笑)。なんなら目線とかも泳いでいて。理想とのギャップがすごいなと思った記憶があります」

『ぐるぐるナインティナイン』のコーナー「ゴチになります!」にレギュラー出演するなど、最近は役を介さない高杉真宙を見せる機会も多い。バラエティの洗礼を受け、トークに対する苦手意識も随分と変わってきたようだ。

「ちょっとは成長してるんじゃないかなと思います。最近ちょこちょこ番宣でバラエティに出るようになりましたけど、ひと笑いはほしいって思うようになりました(笑)。僕が喋ったときに、芸人さんに立ち上がってほしいみたいなのはあります。笑われたいです!」

そんな野心も、人見知りの殻に閉じこもってばかりだった頃の自分では抱くこともなかっただろう。様々な経験を砥石にして、高杉真宙の人間性はどんどん磨かれていく。

この「冒険編」の結末を迎える頃には、どんな男になっているだろうか。次なるチャプターのページをめくるそのときはきっと、もっと凛々しく、もっとたくましくなった(でも、根っこの部分でシャイなところは変わらない)高杉真宙に出会えるはずだ。

衣装協力/シャツ ¥55,000、ジップポロ ¥25,300(NULABEL / STUDIO FABWORK TEL 03-6438-9575)、パンツ ¥41,800(M / BICHO Inc TEL 03-6438-9575)、その他スタイリスト私物(すべて税込み価格)

作品情報

映画『いつか、いつも‥‥‥いつまでも。』
公開中

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