撮影/藤田亜弓

高杉真宙が、2022年3月上演の『ライフ・イン・ザ・シアター』で2人芝居に初挑戦する──。

1977年に初演されたアメリカの劇作家デヴィッド・マメットによる戯曲には、ステージ上や楽屋裏、袖や衣裳部屋など劇場の中のさまざまな場所を舞台に、俳優2人の日常を切り取ったオムニバス風ヒューマンドラマが綴られている。

日本で3度目の上演となる今回は、演出を千葉哲也が担当。ベテラン俳優のロバート役を勝村政信が、若手俳優のジョン役を高杉が演じる。稽古前の高杉に、作品に懸ける想いを尋ねた。

フォトギャラリー【写真10枚】「高杉真宙」インタビュー写真を見る【舞台『ライフ・イン・ザ・シアター』】

大先輩・勝村政信さんとの贅沢な時間を無駄にしちゃいけない

撮影/藤田亜弓

──この作品に何を期待し、どんなモチベーションで出演を決められたのでしょうか?

作品を選ぶ時、僕はいつも「どんな風に成長できるかわからない作品」に挑戦したいと思っているんですよね。予測できないので不安だけど、そうじゃないとやる意味がない。俳優の仕事をする以上、向上心は常に持ち続けていたいです。

──勝村政信さんとの2人芝居は、高杉さんの向上心のあらわれなんですね。

今回に限って言えば「まだお前には早いぞ」って気持ちの方が大きいですが、そんなタイミングにオファーいただけた幸せを噛み締めてもいます。

2人芝居に挑戦できることを、ある種「許してもらえたような」感覚……といいますか。誰よりも僕自身が自分に期待しながら稽古に臨んで、舞台に立ちたいと思います。

撮影/藤田亜弓

──『ライフ・イン・ザ・シアター』はこれまで石橋蓮司さん×堤真一さん(1997年)、市村正親さん×藤原竜也さん(2006年)のタッグで過去に2度上演されています。特にジョンを演じた先輩の堤さん・藤原さんと同じ役を演じることについて、どのように受け止めていらっしゃいますか?

本当にプレッシャーで、それも「まだお前には早い」と思う一因のひとつです(苦笑)。

僕、このひとつ前に4人芝居の『てにあまる』(2020年)で藤原さんとご一緒したんですが、柄本明さんと藤原さんの掛け合いを共演者として目の当たりにして……尋常じゃない迫力に圧倒されました。

あれを経験したからこそ、2人芝居に挑戦してみたい気持ちがさらに強まったんです。本番の幕が上がったら勝村さんと僕の2人しかいない状況はまだ恐怖でしかないけど、稽古では先輩たちから何を学べたのか如実にわかりますから。

撮影/藤田亜弓

──その恐怖を共有する勝村さんとは、WOWOWと民放のドラマ2本で共演されていらっしゃいますね。どんな印象ですか?

コメディやおもしろい役をたくさんされる中で、確実に「ゴールを決めていく」イメージがあります。作品に爪跡を残すことはもはや当たり前で、さらっとやってのける感じ。大人の余裕を感じて、すごくカッコいいんですよね!

共演経験はあるんですが、お芝居でがっつりご一緒するのは初めてなので、置いていかれないようにしないと。

──今回、勝村さんからどんな薫陶を受けたいと考えていらっしゃいますか?

あれもこれも、どんなことでもいいから刺激を受けたいです。目に見えるものはすべて観察させてもらって、どうしたら“学び”に変えていけるのか考えて稽古に挑みたい。いろんな方々と共演するからこそ、成長できると考えているので。

特に大先輩の勝村さんと2人芝居でご一緒できるなんて、そんな贅沢な時間は無駄にしちゃいけません。ズタボロになって、寝て・起きて・芝居して……の繰り返しになるんじゃないかな。いまから本当に楽しみです!