今は1回目の挑戦権を与えてもらっているフェーズなのかな

撮影/友野雄

だからこそ聞いてみたかった。俳優・高杉真宙は今、どのあたりのチャプターにいるのか。人生の半分を芸能の仕事に捧げた彼の現在地を知りたかった。

「第3部くらいじゃないですか。10部作の第3部。いや、もうちょっと短いかもしれない。6部作くらいの第3部かも」

そう真面目に分析する彼に、それぞれのチャプターに名前をつけてもらった。

「第1部が初心者編、第2部が第1次成長編とするなら、第3部は“冒険編”。漫画で言うといちばん熱い展開ですよね。盛り上がれ〜(笑)」

あえて自分を鼓舞するように、そうおどけてみせた。でも、そうやって茶化しながらも“冒険”という言葉を選んだことに、歩んできた道のりへの充実感が垣間見える。

©2022『いつか、いつも‥‥‥いつまでも。』製作委員会

「言い方が少し難しいですけど、挑戦する権利って誰しもに均等に与えられるものじゃないと思うんですよ。タイミングなんてみんなバラバラで。それまでの積み重ねがあって初めて、ここから挑戦していいよというチャンスをもらえる。たぶん僕は今、1回目の挑戦権を与えてもらっているフェーズなのかなと。そういう意味でも“冒険編”です」

冒険のゴールにあるものは、まだ明確には見えていない。だからこそ突き進むのだ、この先に何があるかを知るために。

「まずは30代まで走り切ることが、ひとつの目標です。30代になったら、またどうしていくかを考えていかなきゃいけないと思うので、20代はその準備期間。だから、20代のうちにいろんなことを経験したい。そのための挑戦の機会を今与えてもらっているんじゃないかなという気がします」