イース(『フレッシュプリキュア!』)
仮面ライダー、スーパー戦隊ときたら、同じ「ニチアサ」枠から、プリキュアも取り上げないわけにはいきません。
同シリーズからは、『フレッシュプリキュア!』に登場した敵の女幹部、イースをご紹介。
イースは、プリキュアと敵対する「ラビリンス」の3幹部のひとり。外見こそ美しい姿をしているものの、人間味を感じさせないキャラクターの持ち主であり、作戦を失敗した仲間にすら侮蔑の目を向けることもあるクールビューティーな少女です。
その目的は、人々を不幸にし、負の感情のエネルギーを集めてラビリンスによる全世界の征服を実現すること。その為、人間界における「友情」や「愛」といった美徳を尽く否定し、主人公であるプリキュアたちと激突するのです。
"ちょいワル"というか"悪"の側に立つキャラクターなわけですが、実はこのイース、主人公たちとの戦いと交流を通して正義の心に目覚め、プリキュアの新しい仲間「キュアパッション」として転生するというドラマチックな運命を辿ることになります。
長い歴史を持つプリキュアシリーズですが、「悪役がプリキュアへの変身能力を得て、ストーリーの途中で仲間となる」というドラマを作ったのは、このイースが初。
それまでの作品から大幅な変更を行ったキャラクターデザインや、エンディングでの3DCGによるダンスシーンの導入といった後のシリーズでの定番となる各要素を先鋭的に取り入れ、その先達となった本作においても、イースの物語は非常に画期的なものでした。
プリキュアとなって以降は、愛と平和の為に戦い続けたイース。ちなみに、悪役幹部時代も「街をジュースの海に沈めようとする」というポンコツな作戦を決行したり、たまたま口にしたドーナツの美味しさに感動したりと、その鉄面皮っぷりに反した可愛げを出すことが度々あり、それもまた人気に繋がっていました。
飛影(『幽☆遊☆白書』)
特撮ヒーローの世界のみならず、少年漫画の世界も魅力的なダークヒーローを数多く生み出してきました。
アラサー・アラフォーの男子にとって、『幽☆遊☆白書』の飛影は、そうした"アンチヒーロー"なカッコ良さを見せつけてくれた名キャラクターとして決して忘れられない存在となっているかと思います。
『少年ジャンプ』的な熱血主人公像とも違う、クールで人間味を感じさせないキャラクター造形。最初は敵として登場するものの、戦いを通して味方になるという胸焦がす熱い展開。
そして、邪王炎殺拳と剣技を駆使したファイトスタイルや、額に開く第三の目「邪眼」の能力など、そのクールでワルな性格に加えて、ひたすら「カッコ良い」の要素が詰まっていた飛影。色でいえば、単色の黒。その孤高の佇まいに、心を掴まれた少年は多いはずです。
『少年ジャンプ』は、『ドラゴンボールZ』のベジータや、『るろうに剣心』の斉藤一、『NARUTO』のうちはサスケなど、陽性の主人公の対となる魅力的なライバルキャラクターを作り出してきましたが、飛影もそうした歴史に名を連ねる名ダークヒーローといえるでしょう。
ルルーシュ・ランペルージ(『コードギアス 反逆のルルーシュ』)
ゼロ年代に制作された大ヒットアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』。テレビシリーズの完結から10年以上の時を経た今も、スピンオフ作の制作や総集編の劇場映画が公開されるなど、その人気は衰えることを知りません。
この物語の主人公であるルルーシュ・ランペルージは、他者を服従させることができる特殊能力「ギアス」を武器に、自身と妹を見放した国家に復讐を誓う反乱軍の統率者です。
目的の為、そして最愛の妹の為ならばどんな残忍な作戦をも厭わない冷酷非常な面を持つ一方で、策略を巡らし相手を出し抜く知能の高さと、人を惹き付けるカリスマ性を持っています。
そんなルルーシュが権力を手に入れ、人の心を掴み、そして、武力を率いて巨大な戦争へとその身を投じていく姿は、まさに「ピカレスク・ロマン」という称号こそが相応しい。
その美貌や、福山潤さんの名演技で、男性は勿論、女性ファンからも絶大な人気を得たルルーシュ。ゼロ年代のテレビアニメにおけるアンチヒーローを代表する存在です。