銭湯が無音のダンスフロアへ様変わり!

そろそろ開演の時間。この日は男湯(2階)と女湯(1階)の2フロア制で、お客さんは思いのままにフロアを行き来することができます。

もちろん、それぞれのフロアではそれぞれのDJがプレイしているので、男湯と女湯では別々のヘッドホンが用意されています。

要するに、男湯から女湯へ移動したければ「ヘッドホンを返却する→男湯を出る→女湯へ行く→ヘッドホンを着ける」という手順を踏むわけです。このオリジナルシステムは「2風呂ア制」。素晴らしいネーミングですよね!

DJのプレイが始まるや、フロアは本当にクラブのような雰囲気に。小さなミラーボールなど、暗めの室内で控えめに光るピンポイントの照明は“大人の空間”を演出します。

……が、よく見るとそこかしこに蛇口があったりして、銭湯らしさは決して失われていません。

ダンスミュージックに没入し、皆さん思い思いに楽しんでいる模様。自由に踊る人もいれば、小刻みに揺れながら静かにリズムを取っている人、フロアの光景を見ながらリアクションを取らず純粋に音楽を意識しているであろう人、中には浴槽に入って踊ったり、まったりしてる人もいました。

「『浴槽で踊ると足が疲れない』という感想を、参加者からいただいたことがあります。理由は不明なのですが、もしかしたらヒノキに立っているからかもしれません(笑)」(雨宮さん)

なるほど、そんなお得ポイントもあるのか……。ちなみに会場の「日の出湯」は創業明治初期の老舗銭湯で、浴槽には古代檜と呼ばれる神木とも言うべき貴重なヒノキが用いられているそうです。

そして、鮮やかに会場を照らすプロジェクションマッピングにも注目。「いい湯だな」の文字、いちいちシャレが効いてるじゃないですか!

ちなみに「ダンス風呂屋」ではこの演出のことを「プロジェクションマッピング」ではなく「風呂(フロ)ジェクションマッピング」と呼ぶそうです……。

そして、気になるダンスミュージックについて。イカした曲が我々を包み込みますが、単に音楽を流しているわけではありませんでした。

「選曲に関しては人によりますが、僕がDJをやる場合、エコーをかけて銭湯っぽい演出を施しています」(雨宮さん)

試しにヘッドホンを外してみると、空間にミュージックが轟いていないのが不思議。いや、当然と言えば当然なのですが。

みんなノリノリだけど、音楽を共有していないと何にノッているのか分からない。そのためちょっと妙な光景になっちゃいます。これが、サイレントフェスか!

また、今回は不意に女性ダンサーが出現し、銭湯の浴槽などを用いて独特のパフォーマンスを展開してくれました。

浴槽のへりの部分を背もたれにするなど、シチュエーションを存分に活用したダンス。このイベントでなければ見られないであろうダンスパフォーマンスが繰り広げられましたよ!